2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト網膜のメラノプシンの遺伝子多型およびその機能的役割の解明
Project/Area Number |
22657063
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
樋口 重和 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (00292376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥田 昌子 国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所, 室長 (20333354)
辻村 誠一 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (10381154)
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Keywords | メラノプシン / 光 / 瞳孔 / 一塩基多型 / 遺伝子 |
Research Abstract |
ヒトの網膜には、メラノプシンという光感受性のある視物質を含む神経節細胞(mRGC)があり、生体リズムの光同調や瞳孔の光調節反応といった光の非視覚的作用に寄与していることが知られている。このメラノプシン遺伝子(OPN4)にはいくつかの一塩基多型(SNP)があるが、遺伝子型の違いが光に対する生理反応に影響を与えるかどうかは知られていない。本研究は、アミノ酸置換を引き起こす領域の一塩基多型(rs107961)と瞳孔の光調節反応の関係を明らかにすることを目的とした。第1実験では、健康で色覚異常のない日本人大学生の男女193名に対して、白色蛍光灯を用いた室内照明下で15lxの薄明視と1000lxの明所視における瞳孔面積を測定した。その結果、C/C遺伝子型群(n=7)はT/T遺伝子型群(n=130)に比べて15ルクス時の瞳孔面積が有意に大きかった。しかし、1000ルクス時の瞳孔面積には遺伝子型間で有意な差がなかった。この結果から、光に対する瞳孔反応は照度によって異なる可能性が示唆された。そこで第2実験では、実験1の被験者の中から93名を対象に、明るさを6条件(1lX、10lx、100lx、1000lx、3000lx、6000lx)に増やして瞳孔面積を測定した。その結果、Cの遺伝子をひとつでも持つ群(C/C群とT/C群)はTT群に比べて、1lxの低照度時では瞳孔面積が有意に大きく、3000lxと6000lxの高照度時では反対に有意に瞳孔面積が小さいことがわかった。以上の結果より、メラノプシン遺伝子多型が瞳孔調節反応に影響を及ぼしており、その影響は照度によって異なることが示唆された。
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Research Products
(4 results)