2010 Fiscal Year Annual Research Report
MRIとCT画像によるチンパンジーの脳の発達過程の研究
Project/Area Number |
22657066
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Research Institution | Chubu Gakuin University |
Principal Investigator |
三上 章允 中部学院大学, リハビリテーション学部, 教授 (40027503)
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Keywords | 人類学 / 解剖学 / 神経科学 / 脳 / 霊長類 |
Research Abstract |
ヒトの脳の進化を考えるとき、化石人類の頭蓋の骨は脳のサイズや形の進化についてのデータを提供してくれる。しかし、脳そのものの情報は、化石人類の骨からは得られない。そこで現生の動物の脳を系統比較する研究が行われてきた。特にチンパンジーの脳は遺伝的距離がヒトに最も近いことにより注目されてきた。そこで、チンパンジー頭部をCTとMRIの同日計測を行い、MRI画像が不得意とする骨の画像を含むCT画像とMRI画像を比較検討した。その結果、大脳皮質が外側にある部分では、T1画像からCT画像で判定した骨の内縁が推定できることが分かった。また、チンパンジー脳の発達における髄鞘形成をMRI画像の高信号領域から推定する方法の信頼性を確認するために、マカカ属サルのMRI画像と同じ個体の髄鞘染色による組織像の比較をおこない髄鞘形成の変化がMRI画像にどのように反映するかを調べた。平成22年度の研究では、コザルとオトナ・ザルの脳の組織標本の細胞染色(クレシル・バイオレット染色)と髄鞘染色(ファストブルー染色)を行った。組織標本はきれいに染色でき鮮明な画像を得ることができたが、MRI画像は組織標本画像と比較することのできる十分な解像度が得られなかった。この点は次年度以降の課題となった。これらの研究と同時にチンパンジー頭部のMRI計測のT1強調画像の高信号領域より推定した髄鞘形成の発達変化についての研究を継続した。今年度の一連の研究により、チンパンジー脳の発達過程を研究する手法についての基礎データを蓄積することができた。
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