2010 Fiscal Year Annual Research Report
トルコギキョウの高密度RADマーカーの開発による優性八重咲き遺伝子の解析
Project/Area Number |
22658007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河鰭 実之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (10234113)
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Keywords | トルコギキョウ / DNAマーカー / 八重咲き / 次世代シークエンサー / ABCモデル |
Research Abstract |
1.八重咲き形質の評価 八重咲きと一重咲きの数品種のトルコギキョウを栽培し,花の形態を比較した.八重咲き品種では,一重咲き品種に比べ花器官数の増加が見られた.花弁数が2倍以上となったほか,雄蕊数,心皮数もやや増加していた.一重咲きでは花弁数,雄蘂数いずれも5であるが,八重咲きでは雄蘂数が5~6,花弁数は雄蘂数のほぼ倍数となる規則性がみられたy.しかし,雄蕊,雌蕊に形態的な変化が見られるものの,無限に花器官が形成されるのではなく,有限性を維持していた.したがって,トルコギキョウにおける八重咲きは,雄蕊,雌蕊が奇形化するCクラス遺伝子の欠損とは表現形質が異なった.また,顕微鏡観察の結果,八重咲きにおける花弁数の増加は,花分裂組織の拡大によるのではなく,ホールの発生期間が延長して,複数の花弁ホールが形成されることによって起きたと思われた. 2.F2世代の育成. 八重咲き形質の系統'620'と一重咲き形質の系統'503'とを親系統に用いた.これら交配して得られたF1は八重咲きとなり,八重咲き形質が優性であることを示した.さらに,F1の自家交配によりF2種子を得た. 3.一重咲き系統と八重咲き系統間で多型のみられるSSRマーカーおよびCAPSマーカーの開発 複数の品種由来のRNAを次世代シークエンサーにより解読し,得られた60万リードの塩基配列データを解析したところ,SSRマーカーおよびCAPSマーカーの候補配列が数百種類みつかった.そこで,これらのマーカーを検出できるPCRプライマーを設計し,異なる品種間で多型があるかを調べた.これらのマーカーのうち数パーセントにおいて異なる品種間で多型が認められたが,親系統'620'と'503'間で多型のみられる十分な数のマーカーは得られなかった.
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