2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22658009
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米森 敬三 京都大学, 農学研究科, 教授 (10111949)
|
Keywords | 園芸学 / 組織・細胞 / 植物 / 単為生殖 / 植物ホルモン |
Research Abstract |
昨年度の結果から、マンゴスチンにみられるアポミクシスは、カンキツやマンゴーでみられるように、開花期に珠心組織から不定胚形成がおこることにより生じるのではなく、果実肥大が始まった幼果期の子室(locule)内に細胞塊が形成され、それが肥大して種子としての形態を獲得していくことで起こることが明らかとなった。さらに、この細胞塊が形成される子室内の空洞の胚珠に存在する胚乳液状の液体中に存在する植物ホルモン様物質が、この細胞塊の肥大に関与している可能性をあることも明らかになった。 そこで本年度、マンゴスチンの開花後、比較的早い幼果期の時期に、オーキシン、サイトカイニン、ジベレリンなどの植物ホルモンを外生的に与え、マンゴスチン果実のアポミクシスによる種子形成にどの様な影響が現れるかを調査し、マンゴスチン果実のアポミクシスによる種子形成とこれら植物ホルモンとの関係を明らかにすることを試みたが、これらの処理の影響を明確に示すことは出来なかった。しかしながら、胚乳液状の液体中に存在する植物ホルモン様物質の同定を溶媒抽出後にGC-MSを用いて再度試み、インドール酢酸が存在していることを再確認し、種子となる細胞塊の発達にオーキシンが何らかの関係を持っていることが明確になった。 さらに、アポミクシスにより生じたマンゴスチン種子は、細分してもそれぞれの種子片から完全な植物体が形成できることを組織培養によって証明することが出来た。今後、この現象を利用したマンゴスチンの効率的な繁殖法を検討していきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外生的な植物ホルモン処理がマンゴスチンのアポミクシスに及ぼす影響は明らかにすることは出来なかったが、果実肥大が始まった幼果期の子室(locule)内に細胞塊が形成され、それが肥大して種子として発達していくこと、この細胞塊の肥大にオーキシンが関与していることが子室に存在している胚乳液状の液体にインドール酢酸が存在していることをGC-MSを用いて同定出来たことは大きな研究成果である。また、マンゴスチン種子の植物体再生能力の強さを細分した種子片を用いて実証したことも大きな成果である。
|
Strategy for Future Research Activity |
マンゴスチンのアポミクシスによる種子形成に植物ホルモンが関与していることを外生的な処理によって証明するため、その処理方法と濃度を検討する。また、子室に存在している胚乳液状の液体に、オーキシン以外の植物ホルモンが存在しているかどうかを明らかにするとともに、種子となる細胞塊発達過程でのそれらの植物ホルモンの含量を経時的に測定し、これまでの仮説を検証する。さらに、種子となる細胞塊を異なるホルモン濃度で組織培養し、種子形成への植物ホルモンの影響を確証する。
|
Research Products
(1 results)