2011 Fiscal Year Annual Research Report
窒素輸送タンパク質の同定による細菌の窒素固定反応制御機構の解析
Project/Area Number |
22658026
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村田 幸作 京都大学, 農学研究科, 教授 (90142299)
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Keywords | 窒素輸送体 / 窒素固定 / 小胞状構造体 / ポーリン様構造体 / ガス生物学 |
Research Abstract |
非共生的窒素固定細菌Azotobacter vinelandiiは、大気窒素を窒素源として増殖する。しかし、窒素固定酵素であるニトロゲナーゼの研究は進展しているが、窒素の認識と輸送に関する研究はなく、窒素代謝を理解する上の障害となっている。そこで、本菌における窒素分子の輸送機構(窒素ガストランスポーター)の存在の可否を明らかにする研究を進めた。大気ガスと人工大気ガス(窒素濃度制御:0-5%)を用いてA.vinelandii,を培養し、窒素ガス低濃度で発現する遺伝子をマイクロアレイ解析した。窒素分圧5%(酸素20%、ヘリウム75%)で高発現する遣伝子群を見出したが、これは窒素輸送トランスポーターとは無関係であった:前年度結果)。そこで、窒素分圧を0-1%(酸素21%、ヘリウム78-79%)まで低下させて培養したところ、機能不明の膜タンパク質をコードする遺伝手が9倍上昇していることを突き止めた。しかし、その遺伝子の破壊は致死性を示さなかった。窒素トランスポーター以外に,一部拡散で窒素ガスが細胞内に取りこまれることも想定さ,れるたあ、この結果は窒素トランスポーターの存在を否定するもめではなく、更なる確認が必要である。この研究を通じて、多くの成果も得られた。大気中に窒素ガスは80%近く含まれているが、生物の存在には,5%程度で十分であること、A.vinelandiiは大気窒素を利用して多糖(アルギン酸)を生産する能力があるが、窒素濃度を制御することによって大量のアルギン酸(食品増粘剤)の生産が可能なことをなどを明らかにした。また、アルギン酸を細胞外に分泌する新たなシステム、トランスアルジソームシステム、を発見した。
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