2010 Fiscal Year Annual Research Report
ロドコッカス属細菌における二次代謝産物生合成遺伝子群の誘導条件の探索とその応用
Project/Area Number |
22658029
|
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
原 啓文 岡山理科大学, 工学部, 講師 (80511071)
|
Keywords | 放線菌 / ロドコッカス属 / ゲノム / 抗生物質生産 / 転写誘導 |
Research Abstract |
ロドコッカス属細菌は、環境保全やバイオテクノロジーにおいて高い重要性を持つ、高G+Cの好気性のグラム陽性細菌である。Rhodococcus jostii RHA1株の全ゲノム解析の結果、RHA1株はポリケチド合成酵素(PKS)や非リボソーム型ペプチド合成酵素(NRPS)を含む多くの二次代謝産物生合成遺伝子群を有していることが明らかとなった。本研究では、RHA1株に存在する全ての二次代謝産物生合成遺伝子群の誘導条件を明らかにすることを目的とし、平成22年度は染色体上に存在するPKS-NRPS融合型遺伝子(ro02209)、III型PKSと相同性を有する遺伝子(ro05206)、多くの難分解性芳香族化合物分解酵素遺伝子群が存在するプラスミドpRHL1に位置している2つのNRPS遺伝子(ro08547、ro08649)について誘導条件の探索を行った。 まず始めに、それぞれの二次代謝生合成遺伝子内部に赤色蛍光タンパク質(RFP)を挿入した遺伝子組換え体を構築した。得られた遺伝子組換え体を栄養条件、塩濃度、炭素源、窒素源、リン酸源の異なる液体・固体培地で1週間培養し、細胞抽出液を調整し野生株と蛍光強度を比較した。その結果、貧栄養条件、低浸透圧下の固体培地でro05206およびro08547にRFPを挿入した遺伝子組換え体で蛍光値の有意な上昇が認められた。さらに、リン酸飢餓状態の固体培地では炭素源に依存して全ての二次代謝産物生合成遺伝子群の遺伝子組換え体から蛍光値の有意な上昇が認められた。以上の結果から、これら4つの二次代謝生合成遺伝子群はRHA1株において固体培地で特定条件化でのみ転写誘導されることが明らかとなった。さらに、誘導される炭素源が異なっていることから、二次代謝産物生合成遺伝子群は特定の環境シグナルに応答して別々の転写活性化を受けていることが示唆された。
|