2011 Fiscal Year Annual Research Report
機能性ペプチドの腸管吸収は疾病状態を反映する-その仮説と検証-
Project/Area Number |
22658044
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松井 利郎 九州大学, 農学研究院, 教授 (20238942)
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Keywords | 低分子ペプチド / 生活習慣病 / 機能性食品 / LC-MS / 安定同位体標識 / 腸管吸収 |
Research Abstract |
これまで、正常者では血圧低下ペプチドを摂取しても血圧低下が起こらないとの事実に関して,十分な科学的実証はなされていなかった。そこで、本研究では「正常者ではペプチド輸送体(PEPT1)はほとんど発現しておらず、血圧亢進に伴い発現量が増大する=生体は病態レベルに呼応して生理活性ペプチドを積極的に受2入れようとする」との仮説を実証する必要がある。 本年度は、昨年度新たに設定した安定同位体標識LC-MRM-MS/MS法により明らかとした^<13>C-SIPジペプチド(^<13>C-VY、^<13>C-MY、^<13>C-LY)のラット循環血液への吸収量の低さを考慮して、新たに塩基性活性ジペプチドであるTrp-Hisを用いて吸収性試験を実施した。Trp-Hisに対するLC-MS/MS条件を検討した結果、カラム:Cosmosil MS-II (2.0×150mm)、溶離液:0-100%MeOH in 0.1% formicacid、MRM:342,4>324.0m/z(Positive)の条件で、内標準(Trp-D-His)との完全な分離と検出となった。内標準5.0ng/mL添加に対するピーク面積比を求めることにより、Trp-His0.5-10.0ng/mLの範囲でR^2=0.9913の定量分析が可能となった。そこで、8週齢Wistar系ラット及び18週齢高血圧自然発症ラット(SHR)に対する10mg/kgのTrp-His単回投与試験を実施し、週齢の違いによる吸収量を比較検討した。その結果、投与1時間目の吸収量はWistar:5.8±0.8pmol/mL,SHR:18.5±3.5pmo1/mLとなり、病態発症ラットにおいて高い値が得られた。なお、投与6時間後においてはTrp-Hisは検出限界以下(1pmol/mL)の値となったことから、より高感度な分析法の設定が必要であった。
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