2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22658047
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 信 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20164436)
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Keywords | 林業労働 / 国勢調査 / アンケート / 離転職 / 森林組合 |
Research Abstract |
本研究では、マクロ・メゾ・ミクロのレベルで林業労働者の就業状態を把握すると同時に、林業労働者の離転職に関してその実態調査を行なうことを目的とした。マクロレベルでは、しばしば林業労働者の代表値とされる「国勢調査」の産業分類上「林業」とされる就業者に関して職業構成の変遷を明らかにし、現場労働者の大半に相当すると考えられる職業分類上の「林業作業者」だけでなく、「事務従事者」、「管理的職業従事者」などの分布の変遷を追った。メゾレベルでは、全国の森林組合を対象にアンケート調査を実施し、人事担当者に過去3事業年度及び平成23年度の景気状況への認識を質問すると同時に、景気動向に対する雇用調整をどのように考えているのかについて質問した。ミクロレベルでは、森林組合を対象にパネルデータを取得した。対象地域としては、それぞれ伝統的に林業が盛んな地域、そうでない地域と想定される、静岡県北遠天竜地域、兵庫県北部但馬地域を選定した。このデータは、就業判断に大きな影響を及ぼすとされる賃金、及び就業継続そのものに相当する離職に関して要因分析を行なっていく上での貴重なデータとなる。 これらの研究の意義について述べると、マクロレベルでは「林業」就業者と「林業作業者」の関係を明確にし、現場労働者のみならず「事務従事者」や「管理的職業従事者」等の内勤労働者にも当てた分析を行ない、林業を支える就業者総数を推計したこと、メゾレベルでは労働保蔵の発想をベースに景気動向に対して森林組合が安定雇用をどのように考えているのかに関してアンケート調査を行なったこと、ミクロレベルでは林業労働の経験のみが賃金水準に影響を与えることを明らかにしたこと、データとしては賃金及び離職の両方に対応するデータソースをパネルとして取得し、結果、同一のデータソースを用いて要因分析を行なうことで、それぞれに関してどの要因がどのように効いてくるのかを把握できるようになること、が挙げられる。
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