2011 Fiscal Year Annual Research Report
セルロース系バイオマスからのバイオレブリネートの直接製造
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22658055
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
山田 竜彦 独立行政法人森林総合研究所, バイオマス化学研究領域, チーム長 (90353903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 智史 独立行政法人森林総合研究所, バイオマス化学研究領域, 主任研究員 (50399375)
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Keywords | バイオレブリネ / 加溶媒分解 |
Research Abstract |
木質バイオマスの主成分であるセルロースからのバイオェタノール等の試みは盛んであるが、ディーゼル燃料に相当する液体燃料の製造は容易ではない。そこでセルロースから誘導可能なバイオディーゼル燃料として展開可能な化合物であるレブリネート(バイオレブリネート)に着目した。バイオレブリネートは、糖の酸加水分解物により得られる有機酸である「レブリン酸」とアルコール類がエステル結合したレブリン酸エステル骨格を持った化合物である。我々は、比較的高沸点のモノアルコール系試薬を用いた酸加溶媒分解反応なら、簡単な工程でも反応を制御できると考え、この新しい検討を開始した。ここでは、バイオレブリネートの製造を一段階の工程のみで達成すことを目標として、ブタノールを溶媒とした試み(ブチルレブリネートの調製試験)を中心に検討した。セルロースパウダーを用いた場合、ブチルレブリネートの生成率は、理論収率の約60-70%に達した。セルロース系未利用資源であるペーパースラッジに応用した場合も同様の生成を確認した。レブリネートの種類ではセルロースの分解媒体としてブタノールを用い、ブチルレブリネートを調製するのが有利と判断した。ブチルレブリネートは引火点が92度である等、要求する物性を持つだけでなく、ブタノール自身がバイオマスから誘導可能な物質であるので、再生可能資源としての価値は高い。レブリン酸を一段の反応で製造する場合、単糖であるグルコースを用いても収率は40%程度に留まることを考慮すると、多糖であるセルロースから一段の常圧下の処理のみでレブリネートが高収率で得られたことは萌芽的成果と考えている。
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