2010 Fiscal Year Annual Research Report
魚類消化管を用いた飼料の人工消化方法の確立に関する研究
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22658061
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
木原 稔 東海大学, 生物理工学部, 准教授 (40405684)
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Keywords | 胃 / 人工消化 / 培養 / 魚類 / ペプシン / 養魚飼料 |
Research Abstract |
本研究は、配合飼料の開発を安価に短期間で実施するための人工消化方法で、かつ、より生体内に近い人工消化方法の確立を目的としている。その方法として「生体外胃培養」(胃を摘出してまるごと培養する方法)技術を利用し、培養胃内での飼料の消化性、およびその対照として生体胃内での飼料の消化性を比較した。 開腹したクロソイから胃をすみやかに摘出し、胃内に魚肉すり身で作成した疑似飼料を挿入して、噴門部、幽門部に耐酸チューブを装着保定した。この胃を、O_2 : CO_2(95:5)混合ガスを連続通気、温度20℃に調節した細胞培養用培地(培養外液)にひたし、送液ポンプを介して生理食塩水(培養内液)を噴門側から胃内へ流入させた。この条件で6時間培養し、胃内の残存固形物量を乾燥重量で求めた。いっぽうで、水槽内で飼育しているクロソイに同様の疑似飼料を与え、給餌から6時間後に開腹して胃内の残存固形物量を乾燥重量で求めた。 この結果、培養胃内人工消化による消化率は20.1±9.3%(n=5)、生体胃内消化による消化率は25.5±9.8%(n=6)であり、両群間に有意な差はみとめられなかった。 これらの結果は、培養胃内人工消化方法が生体内での消化に近い結果を得られる方法であることを示唆すると考えている。胃が摘出されることにより神経系や血管系からの制御はなくなるものの、局所における疑似飼料由来の物理刺激や化学刺激の受容および応答が保持・発現されていることがその理由かもしれない。 以上、本研究による培養胃内人工消化法を行えば、短期間かつ生体に近い評価が可能であり、養殖魚用飼料開発において効果的な手法になる可能性が示唆された。
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