2011 Fiscal Year Annual Research Report
魚類消化管を用いた飼料の人工消化方法の確立に関する研究
Project/Area Number |
22658061
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
木原 稔 東海大学, 生物理工学部, 教授 (40405684)
|
Keywords | 人工消化 / 胃 / ペプシン / 魚類 / in vitro |
Research Abstract |
本研究は、魚類用配合飼料の開発を安価に短期間で実施するための人工消化方法で、かつ、生体内に近い人工消化方法の確立を目的としている。その方法として胃を摘出してまるごとそのまま培養する技術を利用し、これまでに培養胃内での飼料の消化性、およびその対照として生体胃内での飼料の消化性を比較してきた。当年度は培養胃内液(以下胃液)をつかった試験管内での飼料の消化性を以下のように実施した。 開腹したクロソイから胃を摘出し、噴門部、幽門部に耐酸チューブを装着保定した。この胃を、O_2:CO_2(95:5)混合ガスを連続通気、温度20℃に調節した細胞培養液にひたし、海産魚用生理食塩水を噴門側から胃内へ流入させた。この条件で6時間培養し、回収した胃液中のペプシン様酵素活性を求めた。この酵素活性値を、先の培養胃内消化時に測定した胃液中の酵素活性値に合わせて適宜希釈し、ガラス製試験管内に入れた6mLの胃液内へカマボコで作成した疑似飼料を投入し、20℃、6時間、試験管内で消化した。 この結果、試験管内胃液消化による乾物あたり消朱率は33.0±1.0%であった。これまでの結果をまとめると、 (1)生体胃内での消失率:67.6±8.6% (2)培養胃内での消失率:51.1±9.3% (3)試験管内での消失率:33.0±1.0% であり、培養胃内での消化は生体胃内よりは低いものの、試験管内消化より高いことが明らかとなった。 これまでの実験で培養胃が運動を示すことや、管腔内の刺激を認識することがわかっている。胃が摘出されることにより神経系や血管系からの制御はなくなり生体内よりも培養胃内での消化は劣るが、試験管内では再現できない運動や刺激応答が確保されていることが培養胃内消化の優位点であろうと考えた。このことから、培養胃内人工消化方法は試験管内人工消化よりも生体内に近い結果を得られる方法であろうと考えている。
|