2011 Fiscal Year Annual Research Report
ポリネーションと農業生産力に関する実証的研究:農業技術と生態環境の結節
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22658068
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
淡路 和則 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (90201904)
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Keywords | 農業経済 / 環境調和型農林水産 / 環境 / 生態学 / 農業生産力 / 農業経営 |
Research Abstract |
養蜂をめぐる環境変化に関して花蜜源の変化を分析した。樹園地面積は選択的拡大路線を受けて昭和40年代は面積を増やしたが、昭和50年以降は減少の一途を辿り、ピーク時の半分の水準にまで減少していた。また、昭和30年代には一般的な飼肥料作物であったレンゲは、20万ヘクタールの作付があったが、昭和50年代後半以降はその10分の1以下になった。代わって青刈りとうもろこしが増加していた。こうした動向を踏まえて、花蜜源の減少は、都市化、耕作放棄といった農地の面的な減少の他に、畜産部門の拡大に連動して農地の集約的利用が進むという農業内部的要因もあることを指摘した。 そしてその一方で、施設園芸の拡大とともに授粉昆虫としての蜂の利用が増加したことを確認し、養蜂業において蜂は採蜜の生産手段から授粉のサービスを提供するレンタル財に経営的役割が転化したことを明らかにした。こうした養蜂業の経営的性格の変化は、果樹作等との関係にも変化を及ぼしていると考えられた。果樹園で採蜜を行う際に、養蜂業者は果樹経営に蜜を現物地代として提供することがなされていたが、蜂の役割が採蜜から授粉へと変化してくると逆にリース料を対価として受け取るようになったといえた。また、耕作放棄が採蜜費用を増加させていることも指摘できた。 授粉サービスの受益者である果樹経営について実態調査を実施し、経営的評価を行った。りんご作を対象として人工授粉の費用を把握したところ、花粉の採取から行うと10a当たり8000円を超すことがわかった。また、マメコバチを利用した場合、導入費用がほぼ人工授粉費用と均衡するが、増殖を行えば経済的有利性が得られることが明らかとなった。人工授粉については、必要性の認識に地域差があり、岐阜県等では果実の形状を良好にするために行われていたが、青森県ではあまり行われておらず、マメコバチが代替していることが把握された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒアリング調査を予定していた果樹作地域が洪水の影響で調査の実施が困難となったが、他の地域で実施できたことから必要な情報を収集することができた。概ね初期に構想した調査研究のポイントをカバーすることができたと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査研究の補足を行いながら、実態把握から理論的整理へと研究を展開する計画である。農業生産力の概念に関する文献調査を行いながら、これまで調査で得た知見を踏まえながら理論的フレームを構築して行く。さらには、抽象的な生産力概念の議論にとどまらず、生産現場での普及・指導への応用を想定して、生態環境を組み込んだ具体的な生産力指標について考察を進める。
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Research Products
(2 results)