2011 Fiscal Year Annual Research Report
葉内葉緑体における光合成機能の共焦点レーザ顕微解析法の開発
Project/Area Number |
22658078
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大政 謙次 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70109908)
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Keywords | クロロフィル蛍光 / 細胞 / 3D / 共焦点レーザ顕微鏡 / 環境応答 |
Research Abstract |
環境光強度が異なる条件下で、葉の3次元構造を破壊することなく、細胞・葉緑体レベルでのクロロフィル蛍光パラメータを解析することを目的として、前年度に構築したコンピュータ制御が可能なリアルタイム3次元共焦点顕微鏡システムの特性を検討し、改良を加えた。特に、レーザパワーの調整やニポウディスクの回転数、カメラ感度の調整、フィルター特性などに重点を置いた改良を伽えた。また、高画質のクロロフィル蛍光画像を取得するための設定条件について検討した。さらに、タマシダとソラマメ葉を対象として、12~250μmolm^<-2>s^<-1>の環境光強度下で、実際に、葉の構造を破壊することなく、飽和光照射開始から0.2s~約2sの間に、.数十枚の焦点位置が異なる画像を取得し、葉内のクロロフィル蛍光の3次元構築を行った。そして、表皮や気孔、葉肉細胞などの違いによる光化学系IIを通る電子伝達の量子収率Φ_<PSII>やNPQ(Non-photochemical Quenching)などのクロロフィル蛍光パラメータの3次元解析を行い、光強度や細胞の種類との関係についで検討した。その結果、タマシダ、ソラマメ葉共に、光強度の増加に伴って、Φ_<PSII>は減少し、NPQは増加した。しかしながら、ソラマメの方がタマシダに比べて、全体的に、Φ_<PSII>が大きく、NPQが小さかった。また、ソラマメでは孔辺細胞の方が、周辺の葉肉細胞よりもΦ_<PSII>が大きく、NPQが小さかった。タマシダのΦ_<PSII>は、葉肉細胞、表皮細胞、孔辺細胞の順に大きかったが、NPQでは、孔辺細胞、葉肉細胞、表皮細胞と、大きさの順番に違いがあった。さらに、下層の葉肉細胞の方が、表層よりもΦ_<PSII>が大きく、光利用効率がいいことが明らかになった。
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