2010 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝的高免疫能選抜系マウスと免疫活性化物質による高抗病性免疫システムの解明
Project/Area Number |
22658080
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 啓一 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10344706)
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Keywords | 抗病性 / 免疫 / 免疫活性物質 / 選抜 / マウス / 甘草 |
Research Abstract |
末梢血免疫能を遺伝的に高方向に15世代以上選抜した3系統のマウスに、薬草の甘草を飼料添加給与して、異物を接種した際の各種免疫能、コルチゾールなどの内分泌ホルモン、サイトカインの経時的な変化を測定し、実験動物マウスの遺伝的な改良と免疫機能を活性化する飼料添加物の組み合わせによる、抗病性に優れた動物生産システムの可能性の基礎的知見を得ることを目的とする。 今年度は3選抜系マウスおよび無選抜対照系マウスの4系統マウスの雄をそれぞれ20匹ずつ用い、4週齢から甘草を飼料に0.15%添加給与する区と、無添加の区を設けて飼育した。7週齢に達した時点で採血し、8週齢と9週齢時点でブタM.hyopneumoniaeワクチンを腹腔内に2度接種した。その2日後、1週間後にも採血を行い、その後頸椎脱臼により安楽死させ、脾臓、胸腺、肝臓、副腎を摘出し重量を測定した。免疫形質として、食細胞活性と抗体産生能(IgG,IgM,IgA)を測定した。 分散分析の結果、食細胞の活性、抗原特異的IgG、IgM、非特異的IgA、胸腺、脾臓、肝臓、副腎について有意な系統間差が認められた。また、食細胞活性と抗原特異的IgM、肝臓、副腎重量について、甘草添加給与の効果が有意な影響を及ぼすことが明らかとなった。さらに、食細胞活性について系統と甘草添加給与の交互作用が有意となり、甘草添加により食細胞活性を指標とした系統Nで有意に低下するが、他の系統は低下が認められず、過剰な免疫応答を抑制する効果と考えられた。さらに、抗原特異的IgM量は実験終了時点で甘草添加給与区が全ての系統で対照区より有意に高く、液性免疫が強化されることが示唆された。さらに、甘草添加給与により副腎及び肝臓重量と比体重値が有意に増加した。以上の結果より免疫能を指標とした選抜の効果と甘草に免疫調整機能が存在することが確認できた。
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