2011 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類雄生殖器と精子に発現する新規な宿主防衛機構の解明への挑戦
Project/Area Number |
22658083
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉村 幸則 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (10167017)
|
Keywords | 精子 / 宿主防錆 / 抗菌ペプチド / サイトカイン / 授精 / 雄生殖器 / ニワトリ |
Research Abstract |
オス生殖器では、精子に対する免疫応答を避けるために、適応免疫系より自然免疫系が発達していることが推定される。トリβ-ディフェンシン(avBD)は自然免疫系で働く抗菌ペプチドである。Toll様受容体(TLR)は微生物のパターンを認識する分子である。本研究は、鳥類のオス生殖器の自然免疫機能を明らかにすることを目的としている。今年度はTLRリガンドで刺激すると、生殖器や精子で炎症性サイトカインとケモカインの発現を誘導し、このとき免疫担当細胞の生殖器への流入も促進されること、さらに精子がavBD産生を行い、このavBDが精子の受精能に関与する可能性を検証した。(1)精巣と精巣上体にTLR4を含む多様なTLRが発現すること、TLR4のリガンドであるリポ多糖(LPS)を生体内投与すると、精巣と精巣上体で炎症性サイトカイン(IL-1β、IL-6)とケモカイン(IL-8)の遺伝子発現が高まることを認めた.また、これらの組織ではIL-1βとIL-6蛋白も発現していることが確認された。さらに、(2)LPSがサイトカインの発現を誘導することに連動して、精巣上体と精管でヘルパー(CD4+)およびキラー(CD8+)T細胞が増加することを明らかにした。また、(3)精子をLPSで刺激するとavBD発現が高まることを明らかにしたが、さらに微生物特異的CpGオリゴDNAで刺激してもIL-1βやavBp10の発現が高まる傾向を認めた。一方、(4)精子が発現するavBDと受精能との関係を解析するために、avBD抗体でインキュベートした精子を産卵鶏へ人工授精したが、受精率に影響は認められなかったので、精子のavBDと受精能との関連は少ないものと思われた。
|