2011 Fiscal Year Annual Research Report
内部細胞塊を起源としない細胞から分化多能性を有する幹細胞の樹立と評価
Project/Area Number |
22658084
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
小川 英彦 東京農業大学, 応用生物科学部, 准教授 (20339089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 友宏 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (80153485)
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Keywords | 発生・分化 / 再生医療 / 核移植 / リプログラミング |
Research Abstract |
本研究では、胎盤にしか分化できない栄養膜細胞が、全能性を再獲得する能力つまりリプログラミング能力を有するかどうかを明らかにするために、栄養膜幹細胞(TS細胞)をドナーとした核移植胚を構築し、その発生能を調べた。その結果、胚盤胞への発生率は0-15%であり、ES細胞や体細胞をドナーとしたクローン胚の発生率(約70%)と比較して著しく低下した。また、核移植胚の多くは2細胞期で発生を停止したことから、2細胞期における胚ゲノムの活性化に異常が生じていると考えられた。 そこで、TS細胞をドナーとした核移植胚の多くが2細胞期に発生を停止する原因遺伝子の探査と、低率ながら発生した胚盤胞の遺伝子発現の正常性を明らかにするために、マイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析を行うことにした。2細胞期胚や胚盤胞はmRNA量が極微量であるため、マイクロアレイ解析への使用に十分量のプローブを作製するには、増幅効率の高い専用のプローブ作製キットが必要である。しかし、これまでに使用してきたプローブ作製用のキットが製造・販売を中止したため、新たに使用可能なキットの探索を行うこととした。微量サンプルからのプローブ作製に適していると考えられるキットを2種類購入し、マイクロアレイ解析に利用可能か検討したが、解析に必要な量のプローブを得ることはできなかった。最近、極微量のサンプルからプローブ作製可能なキットが販売されたため、有効性を検証した。微量のサンプルから解析に十分な量のプローブを作製できることが分かった。作製したプローブを使用してアレイチップとハイブリダイズさせたところ、シグナルに斑ができたため、解析することが不可能であった。以上のことから、極微量サンプルを用いたマイクロアレイ解析手法の確立には至らず、本研究の目的であるTS細胞をドナーとした核移植胚の2細胞期胚および胚盤胞における網羅的遺伝子発現解析を行うことはできなかった。
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