2011 Fiscal Year Annual Research Report
プログラニュリン遺伝子欠損神経細胞を用いた神経保護作用の解析
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22658090
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西原 真杉 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90145673)
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Keywords | 脳・神経 / プログラニュリン / 神経細胞 / 神経変性 / 細胞死 / 興奮性アミノ酸 |
Research Abstract |
我々は成長因子の一種であるプログラニュリンの遺伝子欠損マウスを作出し、本マウス由来の神経細胞は野生型マウス由来のそれよりも培養条件下での細胞死率が高く、また、興奮性アミノ酸の神経毒性に対しても脆弱であることを見出した。本研究は、このようなプログラニュリン欠損神経細胞の脆弱性を利用し、神経傷害や細胞死を誘導するような物質や神経細胞を防御する物質の効果を評価するアッセイ系を構築し、神経系を保護する方法論を構築することを目的としている。前年度までに確立した初代培養細胞を用いたアッセイ系において、プログラニュリンの保護作用は神経前駆細胞と成熟神経細胞で異なっていることが明らかになったため、本年度はヒト由来の株化神経細胞であるSH-SY5Y細胞を用いて、未分化型およびレチノイン酸添加による分化型SH-SY5Y細胞のそれぞれについて、基底状態およびグルタミン酸興奮性毒性下でのプログラニュリンの細胞死抑制作用を検討した。その結果、未分化型細胞ではsiRNA導入によりプログラニュリンの発現を挿制した場合、基底状態での細胞死率が増加したが、グルタミン酸に対する応答性には変化は見られなかった。一方、分化型細胞では未分化型細胞で見られたようなグルタミン酸による細胞死率の増加は観察されなかったが、SH-SY5Y細胞では分化に伴いプログラニュリンの発現量が有意に増加していたことから、この増加したプログラニュリンがグルタミン酸からの保護作用に関与するのではないかと考えられた。さらに、プログラニュリンは多様な糖鎖修飾を受けることや、断片化されてグラニュリンペプチドとなることから、プログラニュリンの機能獲得には分子修飾が関わる可能性が考えられた。
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Research Products
(7 results)