2011 Fiscal Year Annual Research Report
プリオン生成の新分子機構提案:膜インターフェースにおけるノネナール修飾を軸に
Project/Area Number |
22658095
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲葉 睦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (00183179)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 耕太 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (50283974)
|
Keywords | プリオン病 / 脂質過酸化 / ヒドロキシノネナール / 膜 / 構造変化 / 病態 |
Research Abstract |
プリオン病の病態には異常プリオン蛋白質(PrPSc)の蓄積が中心的な役割を果たすが、内因性PrPCからPrPScが形成される機序は未だに謎である。本研究は、申請者らが赤血球膜で偶然に見出し再認識したヒドロキシノネナールによる分子修飾という従来にない視点に立ち、脂質過酸化産物=アルデヒドによる分子修飾を起点にしたPrPCからPrPScへの構造変化という新たな仮説を設定し、その検証を目的とする。本年度は、組換えPrPCを安定発現するN2a細胞におけるHNE修飾を検討した。健常マウスとPrPSc接種スクレイピーマウスから得た脳乳剤をN2a細胞に添加し12~15回の継代後にPrPに一致したHNE付加ポリペプチドのシグナルが検出された。これはPrPSc摂取マウス脳乳剤を添加した細胞に特異的であったが、シグナルは低レベルであり、FT-MSによる修飾部位の解析はできなかった。そこで同細胞にHNEを直接作用させたところ、シグナル強度は著しく増加し、FT-MSによる解析から複数箇所のLys、His、Cys各残基へのNHE付加が推定された。Cu2+結合領域を含むN末端領域内の複数のHis、Lys残基における付加はキレート剤添加により増加傾向を示したが、特定のアミノ酸残基に限定した選択的な修飾は認められなかった。また、C末端側のヘリックス構造部分にも複数のLys、His、Cys各残基にも同様に非選択的なHNE付加が推定された。このHNE修飾を受けたPrPCはproteinase Kを作用させると消失し、PrPSc形成との関連性は実証できなかった。なお、この実験条件下で、HNE修飾を受ける複数のポリペプチドについても、その同定を行っている。
|
Research Products
(5 results)