2011 Fiscal Year Annual Research Report
正常ネコに存在する抗インスリン自然自己抗体の臨床的意義
Project/Area Number |
22658099
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
北川 均 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (70144003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 恵典 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20377691)
西飯 直仁 鳥取大学, 農学部, 講師 (20508478)
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Keywords | ネコ / 抗インスリン抗体 / 自己自然抗体 |
Research Abstract |
抗インスリン自然自己抗体定量用のサンドイッチELISAを開発し、その精度を検討した結果、インスリンと結合しているIgGを十分に測定できることが確認された。この測定法を使用して、成イエネコ130例および他のネコ科動物(ライオン、ヒョウ、ユキヒョウ、ボブキャットおよびリンクス)11例について血漿抗インスリンIgG濃度を測定した。すべての検体から抗インスリンIgGが検出された。抗インスリンIgG濃度は、痩せ型のネコにおいて高く、総IgG濃度と正の相関関係にあったが、血糖値や血漿インスリン濃度とは無関係であった。糖尿病ネコでは、抗インスリンIgGは若干高い濃度を示したが、正常ネコの範囲内に含まれていた。 新生児ネコから継時的に採血し、抗インスリン自己抗体の変化をELISAにより測定した。臍帯血には、抗インスリンIgGはほとんど存在せず、哺乳後に抗インスリンIgG濃度が上昇した。この抗インスリン移行抗体は、哺乳期間中に徐々に減少したが、離乳期(食物が乳からキャットフードに変わる時期)に抗体濃度が上昇した(論文投稿中)。 ウシインスリンをカラムに固定し、ネコ血清中のネコ抗インスリン自己抗体を結合させ、アフィニティークロマトグラフィーを行った。各分画の抗インスリン自己抗体に対してプレートに結合させたウシインスリンの部分ペプチドを競合させ、抗原認識部位を決定した。抗原認識部位は、A鎖およびB鎖の両端の親水性の高い部位であることが推定された。 高速液体クロマトグラフィーにより、ネコ血清中の抗インスリンIgGを分画し、4つのピークが検出された。このうち最も濃度の高い分画を用いてネコ由来培養脂肪細胞におけるリン酸化チロシンタンパク質を検出したところ。IgGと結合したインスリンを加えた場合は、遊離インスリンを加えた場合よりも強いリン酸化反応が検出され、抗インスリンIgGがインスリンの働きを強める可能性が示唆された。
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