2011 Fiscal Year Annual Research Report
イヌiPS細胞による脊髄損傷の治療に向けた基盤技術の開発
Project/Area Number |
22658101
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
稲葉 俊夫 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00137241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 裕 京都大学, 農学研究科, 教授 (10303869)
杉浦 喜久弥 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (30171143)
鳩谷 晋吾 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (40453138)
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Keywords | イヌ / iPS細胞 / ES細胞 / 骨髄間質細胞 / 脊髄損傷 / 神経細胞 / 遺伝子導入 / 再生医療 |
Research Abstract |
本研究は、ヒトと共通の脊髄疾患が自然発症するイヌに着眼し、イヌの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を効率的に樹立する技術を開発し、脊髄損傷モデルイヌの治療へ応用することを目的にしている。本研究年度では、イヌiPS細胞株の樹立、神経幹細胞への分化誘導、およびその代用として骨髄間質細胞を利用した脊髄損傷イヌの治療について検討し、以下の結果を得た。 1.イヌ胎子線維芽細胞に4つの多能性関連転写遺伝子(Oct4,Sox2,Klf4およびc-Myc)、さらに、多能性選抜マーカーとしてEOSレポーターをレトロウイルスベクターを用いて導入した。両遺伝子導入後、出現したEOS-GFPを発現するコロニーは、継代後もマウスES細胞様の形態を維持し、トリプシン処理で継代可能であった。また、多能性遺伝子および関連タンパク質の発現を検討した結果、内因性のイヌOCT3/4やKANOGなどの発現、および体細胞マーカーであるTHY1の発現の減少が見られたことから、作製したイヌiPS細胞は、マウスES細胞様の形態と多能性をもつことが明らかとなった。 2.イヌiPS細胞を浮遊培養して胚様体を形成させた後、さらに、Neuron Culture Medium中で浮遊培養すると、神経幹細胞類似の浮遊細胞塊が形成された。これをNBM+B27培地中で接着培養すると、幼若神経細胞マーカーであるTuj1陽性を示す細胞が得られたことより、選択的に神経細胞へ分化誘導できることがわかった。 3.重度脊髄損傷を受傷後1週間以内で、感覚および運動機能を欠如した胸腰部椎間板ヘルニアのイヌを用いて、脊髄の減圧および逸脱した椎間板物質の除去手術を行い、自己の骨髄間質細胞を第5および6腰椎間より脳脊髄液中へ移植して安全性の評価を行なった結果、7頭中2頭が歩行可能となり、細胞移植に伴う感染症や腫瘍形成は観察されなかった。
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Research Products
(8 results)