2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22658102
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
南條 正巳 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (60218071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 正 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (80132009)
菅野 均志 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (30250731)
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Keywords | リン / 稲 / 水田 / ビビアナイト |
Research Abstract |
水田に施与される有機質資材の例として、東北大学川渡フィールドセンター産のコンポストを水田作土に加えて、湛水保温したときの可給態リン含量の変化とビビアナイトの晶出の有無を検討した。コンポスト中にはCaH_2PO_4・2H_2OやMgNH_4PO_4・6H_2Oなどのリン酸塩の存在が論議されている。これらのリン酸塩は希酸可溶だが、中性付近での水溶性はやや低い。 1.今回用いたコンポストは湛水保温後も粒子として砂画分(>0.05mm)に認められた。その中含まれる無機リンの8割程度は湛水保温期間中に、コンポストから溶出し、水稲のリン源として有望である。 2.コンポストを添加して湛水保温した土壌のブレイリン(第2準法)、希酸可溶リンは、風乾細土に比べて大きく増加し、かつ、コンポストの添加量にほぼ応じて増加した。 3.湛水保温後のバルク土壌の砂(>0.05mm)画分にはビビアナイトの結晶が、実体顕微鏡および、走査電子顕微鏡およびエネルギー分散型X線分析で容易に認められた。 4.コンポスト中のリン成分として、CaH_2PO_4・2H_2OやMgNH_4PO_4・6H_2Oの可能性を否定できないが、明確な結晶としては観察されず、P,Ca,Mg等の集合体のように見られた。 還元土壌中でコンポスト中からリンが溶出してビビアナイトが晶出したということは、この還元条件下で、ビビアナイトはコンポスト中のリン酸塩より溶解性が低いことを示唆する。湛水保温中でコンポスト中に残存するリン成分として有機態が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ビビアナイトが生成しうる土壌の種類、施肥の影響、水管理の影響、時期による変化などが明らかになり、さらに、バルクの土壌中でも生成しうること、その粗粒画分については定量法も開発されつつある。また、各種資材の添加効果についても解明されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
ビビアナイトの水稲に対する有効度合い、リン富化土壌からのリン回収などに検討を進める。
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Research Products
(4 results)