2011 Fiscal Year Annual Research Report
抗体可変領域を用いた誘導物質を自由に設定できる新規遺伝子発現調節システムの創製
Project/Area Number |
22658105
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
乾 秀之 神戸大学, 自然科学系先端融合研究環遺伝子実験センター, 講師 (90314509)
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Keywords | 抗体 / 転写因子 / 遺伝子発現調節 / 可変領域 |
Research Abstract |
平成23年度は以下の2項目について研究を行った。 1.抗体転写因子を導入した組換え酵母によるポリ塩化ビフェニル(PCB)検出条件の最適化 ポリ塩化ビフェニルを検出するための最適条件をPCBの一種であるPCB80(3,3',5,5'-テトラクロロビフェニル)を用いて行った。PCBは極めて脂溶性の高い化合物であることから水に溶解させるためにジメチルスルホキシド(DMSO)などの有機溶媒を溶液に添加する必要がある。組換え酵母XL/NHVにDMSO濃度を0.1%から8%まで変化させたて処理した結果、0.1%DMSOを添加したときに最も高いLacZ活性を示した。また、LacZの基質との反応時間は30分のときにその活性が最大となった。最適化した条件をもとに本システムによるPCB80の検出限界を調べたところ、0.1ppbであった。 2.各種PCB同族体を処理した組換え酵母におけるLacZ活性の測定 組換え酵母XL/NHVにPCB126(3,3',4,4',5-ペンタクロロビフェニル)、PCB169(3,3',4,4',5,5'-ヘキサクロロビフェニル)並びにPCB180(2,2',3,4,4',5,5'-ヘプタクロロビフェニル)をそれぞれ処理し、LacZ活性を測定したところ、ほとんど差がなかった。本抗体転写因子を作製するもとになったモノクローナル抗体Mab-4444のこれらPCB同族体に対する交叉反応性はPCB169が最も高く、次いでPCB126であった。PCB180はモノクローナル抗体とは反応しなかった。組換え酵母の反応性はモノクローナル抗体のそれと異なっていた。これはPCB同族体の脂溶性がそれぞれ異なり、酵母細胞膜への透過性が異なったためと考えられる。
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