2011 Fiscal Year Annual Research Report
微生物物質生産の飛躍的増強を目指す輸送体分子制御技術基盤の創成
Project/Area Number |
22658108
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 敬悦 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50312624)
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Keywords | 輸送体 / 物質生産 / 生体膜 |
Research Abstract |
[目的]微生物発酵生産では、細胞内外の基質・産物の取り込み排出制御が残された大きな未開拓領域である。微生物輸送体は主に遺伝学的に解析され、改変は発現量の制御に留まっている。生化学的に解析された輸送体は限定的で、特に物質生産菌の輸送体では少ない。そのため、輸送体本体の蛋白質工学的改変による制御は実現していない。本研究を実施することで、輸送体分子本体の(i)基質特異性の制御、(ii)輸送方向制御(取込み・排出)の新技術基盤を確立する。さらに本研究では、(iii)未知であった取込み輸送体、排出輸送体、交換輸送体間の進化的関係に新情報をもたらす。輸送体の基質特異性及び輸送の方向性(取り込み・排出)を制御する新技術を開発するために、工業細菌のL-アスパラギン酸(Asp):L-アラニン(Ala)交換輸送体AspTをモデルに、基質特異性の改変、交換輸送体から取り込み専用輸送体および排出専用輸送体への人為的改変を行う。 [実施計画] 平成22AspTの第3膜貫通領域(TM3)のsingle cysteine置換体の解析の結果、TM3の細胞質開口部位にAspの結合部位を同定した。今年度は、TM3領域の基質特異性が変化した変異体、イオン駆動力の変化した変異体、輸送モードの変化した変異体の探索を行う。また基質結合に伴うTM3の構造変化を、蛍光修飾試薬を用いて行った。 [研究実績]AspTのTM3変異体のうち、TM3開口部の変異体では野生型に対してAsp及びL-システイン(Cys)への特異性を失い、AlaおよびL-セリンへの輸送能を有する変異体を同定した。変異体の解析ではイオン共役が変化したものは無かったが、輸送モードが交換体から排出体に変化した変異体の存在が示唆された。更に、TM3の蛍光修飾解析から、TM3はAsp結合型構造、Ala基質結合型構造、基質非結合型構造の3つ状態を取ることが明らかになった。
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Research Products
(11 results)