2011 Fiscal Year Annual Research Report
スイッチ機能を有する人工遺伝子デリバリーシステムの創製
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22659006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原島 秀吉 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (00183567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶本 和昭 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 特任准教授 (10416216)
林 泰弘 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 特任助教 (30548178)
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Keywords | 遺伝子デリバリー / ウイルスベクター / スイッチ |
Research Abstract |
平成22年度の解析の結果、KALA修飾MEND(KALA-MEND)のトランスフェクションは、樹状細胞に対して劇的なシグナル活性化を引き起こし、結果として転写因子の発現が促進することが明らかとなった。平成23年度には、遺伝子発現の促進における、これら発現促進転写因子の寄与について解析を行った。マイクロアレイの結果より、KALA-MENDによる遺伝子導入時にはSTATあるいはNFkBなどの免疫応用に関わる転写因子群も含まれることが明らかとなった。本遺伝子発現変動は、KALA非修飾型MENDでは認められないことから、修飾したペプチドは、細胞表面あるいは細胞内の何らかの因子を刺激する『スイッチ』として機能し、樹状細胞における内因性遺伝子の発現変動を誘起することが示唆される。JAK/STST系の阻害剤存在下における遺伝子発現活性を解析した結果、その活性は、濃度依存的に劇的に阻害されることから、本シグナル経路の活性化が、遺伝子発現の上昇と密接に関わる現象であることが示唆された。また、これらの免疫応答に関わる転写因子の活性化に伴い、各種サイトカインの産生も優位に高く上昇することが示されたことから、本ペプチド修飾MENDは、細胞内シグナルの活性化を介して遺伝子導入効率を促進するのみでなく、同時に樹状細胞を活性化することも明らかとした。KALA-MENDのうち、どの要素が活性化に関わるのかを明らかとするため、遺伝子を除いたKALA-リポソームあるいは、KALAペプチド単独の活性化能を評価した結果、遺伝子、KALAペプチド、脂質エンベロープすべてがそのアジュバント活性に重要な因子であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究開始当初は、一般的な培養細胞を用いた解析研究を想定していたが、現在は樹状細胞というDNAワクチンという具体的なアウトプットを見据えた細胞種の選定が出来ていることや、細胞のシグナル経路を実際にコントロールし、さらに薬理効果が期待できるナノ粒子を開発出来ている点で、当初の目的以上の結果が得られていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
実際のin vivoにおけるKALA-MENDの薬理効果の検証や、本システムのタンパクワクチンへの応用可能性の追求が、実用性を目指した今後の推進方策となる。また、KALA-MENDの細胞表面あるいは細胞質内の、具体的なスイッチに相当するタンパクの同定は、本研究の価値並びにインパクトを高める上で極めて重要な課題である。自然免疫に関する最先端の研究者と議論を開始しながら、本課題に取り組んで行く予定である。
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Research Products
(6 results)