2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22659007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
眞野 成康 東北大学, 病院, 教授 (50323035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 美樹 東北大学, 病院, 准教授 (10196488)
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Keywords | 抱合型胆汁酸 / メタボロミクス / LC/MS / 低エネルギーCID / 多次元マップ化 / 3β-HSD / Niemann-Pick病type C |
Research Abstract |
まず、グルクロン酸抱合体のフォーカシングにつき検討し、3位水酸基および24位カルボキシル基のどちらに結合した場合でも、グルクロン酸部分に相当する176Daのニュートラルロススキャンでフォーカシング可能なほか、24-グルクロニドはm/z175のプロダクトイオンも生じることから、抱合形式を明確に識別できることも明らかとなった。 これまでの成果をもとに、本法による各種抱合型胆汁酸のフォーカシング性能の検証を試みた。その結果、プリカーサースキャンやニュートラルロススキャンを駆使することにより、多種類の抱合型胆汁酸混合物による複雑なマップから、それぞれの抱合体を選択的に抽出したマップを作成可能であることが判った。次に、健常人、3β-HSD欠損症患者、およびNiemann-Pick病type C患者尿を用いてそれぞれの抱合型胆汁酸マップを作成し、比較検討した。その結果、m/z97のプリカーサースキャンによりフォーカシングしたマップを解析すると、健常人に比べて両疾患患者の尿中に多量でかつ多種類の硫酸抱合型胆汁酸類が存在することが判明した。特に、硫酸抱合とアミノ酸抱合などの複数の抱合代謝を受けた胆汁酸類が数多く存在しており、それぞれのフォーカシングマップを重ね合わせることにより、マルチ抱合体を容易に特定することが可能であった。一方、3β-HSD欠損症患者尿中には、ステロイド骨格中に二重結合を一つ有する硫酸抱合体が強く観測され、それらが酵素欠損により蓄積した3β-sulfooxy-Δ5系の胆汁酸類であることが推測された。Niemann-Pick病type C患者の場合はさらに複雑で、3β-sulfooxy-Δ5系の胆汁酸類のほかに、7β位がN-アセチルグルコサミンで抱合され、かつ側鎖末端がグリシンあるいはタウリンにより抱合された多重抱合型胆汁酸類が高濃度で存在することが明らかとなった。 以上、タンデム質量分析法を駆使することにより、抱合型胆汁酸のメタボローム解析が可能であることが明らかとなり、本研究の成果が各種疾患との関連の精査に役立つものと期待される。
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