2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規ナノ粒子DDSの開発と斬新的脳血管障害治療法の確立
Project/Area Number |
22659010
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
奥 直人 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10167322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 知浩 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (00381731)
清水 広介 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (30423841)
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Keywords | 虚血性疾患 / 脳虚血再灌流障害 / リポソーム / 薬物送達 / DDS / アシアロエリスロポエチン / 細胞保護効果 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
我が国において、虚血性心疾患および脳血管疾患は死因別死亡率の上位に位置する重篤な疾患である。脳虚血時や再灌流後には血管透過性が亢進することから、ナノ粒子製剤が有効に働く可能性が考えられる。実際に申請者らは、予試験的に100nmサイズのナノ粒子がラット脳虚血再灌流部位に、虚血再灌流障害が顕著となるよりはるかに早く、再灌流直後から集積することを見出した。虚血再灌流障害治療におけるDDSナノ製剤の有効性を実証するため、脳虚血再灌流モデルを用い、ナノ粒子の虚血再灌流部位への集積様式を検討した。さらに脳内局所での分布と初期の脳細胞死を解析した。ナノ粒子の脂質組成やサイズを検討しDDS製剤としての最適化を図った。次にラジカルスカベンジャーであるエダラボンのリポソーム化を試みたが、リポソーム化はできなかった。そこで血管保護・新生作用が知られているアシアロエリスロポエチンAEPOを用い、DDS製剤の開発を試みた。まず、神経様細胞において、AEPO修飾PEGリポソーム(AEPO-lip)の薬理活性をMTTアッセイにより評価した。その結果、AEPO-lipはAEPO単独と同等の細胞保護効果を示した。続いてin vivoでの検討を行った。脳虚血再灌流障害のモデルとして、栓子法による一過性中大脳動脈閉塞(t-MCAO)モデルラットを用い、サンプルは全て再灌流直後に尾静脈内投与した。まず、AEPO-lipを蛍光標識し、その脳内挙動を組織レベルで観察した。AEPO-lipの蛍光はNeuNにより染色された神経細胞周辺に強く観察された。この結果から、神経細胞膜上に発現しているEPO受容体とAEPO-lipの結合が示唆された。AEPOのリポソーム化が脳虚血再灌流障害治療において有用である可能性が高い。
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