2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22659016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
入村 達郎 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (80092146)
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Keywords | エボラウイルス / 糖蛋白質 / レクチン / グリコシレーション / 糖鎖伸長 / 感染防御 |
Research Abstract |
本研究では、異なる種のエボラウイルス糖蛋白質のプロセシングに焦点を絞り、HEK293T細胞をホストとして用いた場合の糖鎖構造の違いを比較し、その原因を究明することを目的とした。ザイール種、レストン種、及びそれらの部分配列をスワップした糖蛋白質遺伝子コンストラクトを用いてウイルス様粒子を産生させたところ、VLPにはエボラ糖蛋白質以外に宿主細胞由来の糖タンパク質が含まれ、エボラ糖蛋白質の糖鎖構造解析には、糖蛋白質の単離精製が必須であることを示した。そこで、糖鎖非依存的な抗体による免疫沈降と電気泳動法による分離精製法を確立した。精製した糖蛋白質を材料にN-結合型糖鎖の構造的特性を、質量分析器によって決定した。その結果エボラ糖蛋白質において、糖鎖を多数含むムチンドメインよりも上流に位置する18アミノ酸の配列によって糖鎖の伸長が強い影響を受けることが明らかにされた。すなわち、この部分がザイールの配列を持つ糖蛋白質では、N-結合型糖鎖の枝分かれパターンには影響が見られないが、糖鎖の末端に近いガラクトースの付加率が有意に減少していた。一方、この部分がレストンの配列を持つ場合には、ガラクトースが付加しさらにシアル酸が付加しているものの比率が高かった。遺伝子改変によりさらにこのドメインを絞り込み、18アミノ酸の内の7アミノ酸が重要であることを示した。この配列を含むドメインの機能は、生合成途上において特定の細胞内コンパートメントに糖蛋白質を滞留させることである可能性が、細胞化学的な解析から示唆された。
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