2011 Fiscal Year Annual Research Report
抗糖鎖抗体作製のための新しいストラテジーとその応用
Project/Area Number |
22659018
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
川島 博人 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (50260336)
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Keywords | リンパ球ホーミング / L-セレクチン / 高内皮細静脈 / 硫酸化糖鎖 / 抗糖鎖抗体 |
Research Abstract |
糖鎖の機能を解明するためには特定の糖鎖に特異的な抗糖鎖抗体は極めて有用なツールとなるが、糖鎖は一般に抗原性が低いために、抗糖鎖抗体の作製は容易ではない。本研究で我々は、抗糖鎖抗体を作製するための効率の良い方法論の樹立を行うともに、得られた抗糖鎖抗体を用いてリンパ球ホーミングにおける硫酸化糖鎖の機能解析を行い、以下の研究成果を得た。 1.硫酸基転移酵素二重遺伝子欠損マウス(DKOマウス;Kawashima et al., Nature Immunology,6:1096-1104,2005)を硫酸基転移酵素強制発現株で免疫する新しい方法論に基づいて、二種類の抗硫酸化糖鎖モノクローナル抗体S1およびS2を樹立した。 2.S1およびS2抗体はともに野生型マウスの高内皮細静脈(HEV)と特異的に結合するのに対して、DKOマウスのHEVとは結合せず、硫酸化糖鎖を特異的に認識すると考えられた。さらに糖鎖アレイを用いた解析の結果、S1,S2抗体はともにリンパ球ホーミングレセプター・L-セレクチンのリガンドとして知られている6-スルホシアリルルイスXおよびその構造からフコースを除去した6-スルホシアリルLacNAcに特異的に結合することが明らかとなった。 3.S1,S2抗体を用いて、リンパ球ホーミングアッセイおよびin vitroローリングアッセイを行ったところ、S2抗体はS1抗体よりも強く阻害作用を示すことがわかった。また、その阻害作用の違いはS1抗体は硫酸化O-型糖鎖に選択的に結合するのに対して、S2抗体は硫酸化O-型および硫酸化N-型糖鎖の双方に結合することに起因することがわかった。 以上より、抗糖鎖抗体作製のための新しい方法論の樹立に成功し、得られた抗体を用いて硫酸化O-型糖鎖と硫酸化淋型糖鎖の双方が協調的にリンパ球ホーミングに関与することが明らかとなった。
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Research Products
(10 results)