2011 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスの自己制御機構に基づくケミカルゲノミクス的抗HIV剤の創製
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22659021
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
玉村 啓和 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (80217182)
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Keywords | インテグラーゼ阻害剤 / マトリックス蛋白 / CD4ミミック / アンタゴニスト / HIV / CXCR4 |
Research Abstract |
現在のHIV感染症およびAIDSの治療法としては逆転写酵素阻害剤とプロテアーゼ阻害剤を2,3剤用いるhighly active anti-retroviral therapy(HAART)が一般に用いられており、多大な成功を収めている。しかし、いずれの作用機序を持つ抗HIV剤も根治に至るものではないので、現状のリバースケミカルゲノミクス的手法による創薬研究だけではエイズの治療は限界に近づいている。そこで、本研究ではフォワードケミカルゲノミクス的手法を用い、HIVのライフサイクルに備わっているフィードバック機構をターゲットとし、HIV構成蛋白質の部分ペプチドからランダムに抗HIV剤を探索した。さらにリード化合物から、ペプチド創薬展開をし、活性の上昇と生体内安定性の向上を目的として研究を行った。また、リバースケミカルゲノミクス的手法によりCD4ミミック、CXCR4アンタゴニストの開発を行った。平成23年度は1)Vprの断片から見出したインテグラーゼ阻害ペプチドのヘリックス増強ミメティックを合成し、構造活性相関を展開した。ステイプル化により、高いIN阻害活性を有するVpr断片ペプチドを見出した。2)Matrix断片に細胞膜透過性配列を付加した抗HIVペプチドを創出し、イメージングで細胞内導入を確認した。3)CD4 mimic誘導体のピペリジン環の窒素原子周辺、およびフェニル部位の構造活性相関を行った。高い抗HIV活性、高いgp120構造変化誘導能を有する新規誘導体を見出した。4)今までに強力なCXCR4アンタゴニストである14残基のペプチドT140とその低分子誘導体である環状5残基のペプチドFC131、および、それほど高活性ではないが、低分子非ペプチド性アンタゴニストを創出している。これらを基に、より医薬品としてのプロフィールの優れた化合物を開発した。Xylene骨格を有する全く新規なCXCR4アンタゴニストを見出すことができた。
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