2010 Fiscal Year Annual Research Report
ケミカルゲノミックスを基盤とする活性天然物質の標的分子解析法の確立
Project/Area Number |
22659022
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒井 雅吉 大阪大学, 薬学研究科, 助教 (80311231)
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Keywords | ケミカルジェノミクス / ケミカルバイオロジー / 生物活性物質 / 標的分子 |
Research Abstract |
本研究は、未だ確立された方法がない、活性天然物の標的分子を簡便かつ迅速に解析する方法論を確立することに挑戦するものである。今年度は主に、化合物の標的分子を高発現させた形質転換細胞は、化合物に対して耐性を示すという考えのもと、topoisomerase Iを阻害する抗がん剤camptothecinをモデル化合物に、cDNAライブラリーを活用する標的分子解析法の確立を目指した。すなわち、camptothecin自然耐性のHeLa細胞を樹立し、そこから得たmRNAを用いてcDNAライブラリーを作成した。またこれを一過的に高発現させた形質転換HeLa細胞から、camptothecinに耐性を示す細胞をスクリーニングし、プラスミドを抽出する方法を確立した。そして、予試験的にcamptothecinに対して耐性を与えるプラスミドの1つについて、そのcDNAの配列を解析した結果、Camptothecin-Topoisomerase I-DNA複合体の排除に寄与するubiquitinタンパク質をコードする遺伝子であることが明らかとなった。 一方、同様な概念のもとすでに確立している、ゲノムDNAライブラリーを利用する抗菌物質の標的分子解析法についても、その有用性を明らかにするための検討を開始した。これまでに抗潜在性結核物質として見出したhalicyclamine Aをモデル化合物とする検討により、Mycobacterium属の機能未知遺伝子であるdedA遺伝子を高発現させた形質転換M.smegmatisが、halicyclamine A耐性となることを見出している。今年度は、halicyclamine AがdedAタンパク質と直接結合するか否かを確認するため、dedAタンパク質を大量に得るための発現プラスミドを構築した。またE.coli発現系において、dedAタンパク質が発現できることを確認した。
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