2011 Fiscal Year Annual Research Report
VifによるAPOBEC3Gのプロテアソーム分解を阻害する抗エイズ薬の設計と合成
Project/Area Number |
22659024
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大塚 雅巳 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (40126008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 美歌子 熊本大学, 薬学部, 准教授 (00322256)
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Keywords | HIV-1 / Vif / APOBEC3G / プロテアソーム分解 / 抗エイズ薬 / NF-κB |
Research Abstract |
APOBEC3Gはヒトがもつ抗ウイルス性タンパク質であり、ウイルス粒子中に入ってHIV-1の正常な複製を阻害する。一方HIV-1のもつタンパク質WifはHCCH型亜鉛フィンガーを介してCul5などとE3リガーゼ複合体を形成し、ユビキチンープロテアソーム系により抗ウイルス因子APOBEC3Gの分解を引き起こす。このvif/APOBECに作用する化合物は、新規抗HIV-1剤となり得ると期待される。 研究代表者らはHIV-1ジメチルアミノピリジンの2位と6位にメルカプト基をもつ側鎖を導入した対称的構造をもつ人工キレーターMF1やそのジスルフィド体MF2、MF3を合成し、その作用を検討した。 平成23年度は、これら合成化合物が細胞内でAPOBEC3Gの分解を阻害するか、Western blotting法を用いて検討した。その結果、意外なことに5μMのMF2およびMF2に還元剤DTTを加えたものは、APOBEC3Gの発現量を顕著に上昇させることがわかった。プロテアソーム阻害剤MG132も同様の活性を示したことから,この作用はプロテアソーム阻害に基づくのではないかと示唆された。実際MF1、MF2、MF3はプロテアソーム阻害活性を示すこと、この中でMF2の活性が最も高いことを明らかにした。また、MG132はAPOBEC3GのみならずVifの発現量も上昇させるのに対して、化合物MF2およびMF2にDTTを蜘えたものはvifの発現量を上昇させず、APOBEC3Gに対する特異性を示した。さらに、合成化合物がAPOBEC3Gを発現させた細胞内でHIV-1の感染価を抵下させるか、MAGIアッセイを用いて検討した。その結果、5μMのMF2、MF3、およびこれらにDTTを加えたものは、HIV-1の感染価を低下させた。 本研究は、Vif/APOBECに作用する抗HIV-1薬創製の礎になり待ると考えられる。
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