2010 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー反応増悪化に関わる新規化学物質受容機構の解明
Project/Area Number |
22659025
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平澤 典保 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (80181155)
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Keywords | TSLP / キシレン / ケラチノサイト / 化学物質認識タンパク質 / MAP kinase |
Research Abstract |
申請者は生活環境中に存在する化学物質、特にキシレン、1,2,4-トリメチルベンゼンは皮膚の上皮細胞であるケラチノサイトからのthymic stromal lymphopoietin(TSLP)の産生を誘導する作用があり、アレルギーの発症、増悪化を誘発することを明らかにしている.本研究では、ケラチノサイトがどのような機序でこれらの化学物質を認識し、どのような細胞内シグナル伝達機構がTSLP産生に関与しているか、生理的な刺激の場合とどのように異なるのかを明らかにすることを目的とした。まず第1に、さらに様々な化学物質のTSLP産生誘導活性を解析した結果、中鎖脂肪酸にも強いTSLP産生誘導活性があることを見いだし、疎水性の高い分子を認識していることが示唆された。第2に、1,3-ジメチルアニリン、ならびにアニリンのアミノ基にリンカーを結合し、不溶性ビーズと結合させたアフィニティー担体を合成し、マウス皮膚タンパクからベンゼン-アフィニティー担体には結合せず、m-キシレン-アフィニティー担体に結合するタンパク質を分画し、これまで、2種の異なる分子量をもつ候補タンパクを見いだしている。現在、これらのタンパクの同定を試みている。第3に、TSLP遺伝子のプロモーター領域を含むレポータージーンアッセイ系を構築した。現在、化学物質によるTSLP産生に必要なシスドメインが、生理的な刺激物質によるTSLP産生の場合と異なるかどうか解析中である。第4として、既にTSLPを恒常的に産生する細胞を発見しており、通常の細胞とキナーゼ活性化の相違を網羅的に解析した。その結果、TSLPを恒常的に産生する細胞では、p44/42 MAP kinase,p38 MAP kinase並びにc-Jun N-terminal kinaseの活性化が亢進していることを明らかした。今後さらに化学物質の結合タンパク質の同定、このタンパクにより特異的に誘導されるシグナル伝達系を明らかにする予定である。
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Research Products
(4 results)