2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト間葉系幹細胞からの肝細胞様細胞の作成と薬物動態毒性学的評価研究
Project/Area Number |
22659031
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
横井 毅 金沢大学, 薬学系, 教授 (70135226)
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Keywords | ヒト間葉系幹細胞 / ヒトアルブミン / CYP3A4酵素活性 / 分化誘導 |
Research Abstract |
【目的】本研究では市販のヒト間葉系幹細胞からヒト肝細胞を作成し、動態および安全性のin vitro試験への適用を目指して研究を行った。これまで、個々の患者から提供された骨髄またはiPS細胞からヒト肝臓様細胞の確立について、不完全ではあるが、報告がなされている。iPS細胞の使用には手技などの様々なハードルがあるが、ヒト間葉系幹細胞の分化は、比較的手技が易しく、患者試料から効率よく肝細胞が作成できることを示唆する報告がある。そこで本研究では、市販のヒト間葉系幹細胞から均一でin vitroスクリーニングに供することができる低コストで安定的な肝細胞への細胞分化系の確立を目指して研究を行った。 【方法】材料はタカラバイオのhMSCヒト間葉系幹細胞を用いた。様々な分化系の条件を検討し、顕微鏡下での細胞像、肝細胞としてのマーカーであるヒトアルブミンの産生能および薬物代謝酵素であるチトクロムP450のmRNAの発現を主な指標とした。さらに、ヒトモノサイト由来のTHP-1細胞を肝細胞以外の標準細胞として用いた。 【結果および考察】増殖については、専用のMSCGMで培養することで、充分な増殖が得られた。分化過程は、繊維芽細胞増殖因子であるFGF1およびFGF4,肝細胞増殖因子HGFの存在下で14日間の培養で判断を行った。基本培地条件はHCMで行った。成熟過程は、オンコスタチンM(OsM)とデキサメタゾン(Dex)の標準法で行った。その結果、FGF1,FGF4およびHGFの濃度と処理日数を様々に変化させても、分化の兆候は得られなかった。患者由来の新鮮試料を使用した場合には、分化誘導の兆候は、3日目頃に形態変化として認めることができるが、市販のhMSCではCD105の陽性が検出できなかったこと、CYPの発現も認められなかったことなどから、分化誘導が困難であった。次に、骨髄ではなく、脂肪細胞由来の間葉系幹細胞を用いて、さらに様々な検討を行った。その結果、アクチビンAとFGF4で3日間培養後、HGF,FGF1,FGF4,OsM,Dexおよびニコチンアミドを全て同時に入れて10日から14日間で肝細胞様細胞への形態変化が認められ、ヒトCYP3A4、アルブミン産生も得られた為に、一定の成功を治めた。しかし、ヒト肝に比べて発現量が低い為にさらなる検討を継続している。
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Research Products
(12 results)