2010 Fiscal Year Annual Research Report
がんのメタボロームに着目した抗がん剤耐性克服へのアプローチ
Project/Area Number |
22659034
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西牟田 章戸 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00424135)
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Keywords | メタボローム / 抗がん剤耐性 / 個別化医療 |
Research Abstract |
本研究では、抗がん剤耐性株と耐性獲得前の細胞の細胞内メタボローム(代謝物の総体)をCapillary electrophoresis time-of-flight mass spectrometry(CE-TOFMS)により一斉解析する。親株と耐性株の細胞内メタボロームプロファイルの比較により、メタボロームの視点から、これまで未知の抗がん剤耐性化メカニズムの解明・耐性化に関わる代謝経路および耐性因子を同定する。 本年度はまず、ヒト肺癌細胞株COR-L23とシスプラチン抵抗性COR-L23(COR-L23/CPR)について、細胞内代謝物をCE-TOFMSにより一斉分析し、親株と耐性株の細胞内メタボロームプロファイルの比較検討を進めた。カチオン性代謝物について比較解析を進めた結果、およそ20の代謝物で親株と耐性株の細胞内レベルに違いが認められた。この中にはアミノ酸および代謝経路上その近傍に位置する代謝物が含まれ、抗がん剤耐性との関連が示唆された。また、この中には研究代表者らがSN-38(塩酸イリノテカンの活性代謝物)感受性との関連を報告している代謝物も含まれ、これら代謝物はSN-38に加えシスプラチン耐性とも密接に関連している可能性が示唆された。 今後はさらに高度な抗がん剤耐性を獲得した細胞のメタボローム解析、および抗がん剤曝露に起因する細胞内代謝変動の違いを明らかにすることにより、これまで未知の抗がん剤耐性化メカニズムの解明・耐性化に関わる代謝経路および耐性因子の同定を進め、抗がん剤耐性克服・抗がん剤耐性診断への応用を目指す。
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Research Products
(2 results)