2011 Fiscal Year Annual Research Report
頭蓋骨縫合線のパターン形成の数理モデル化とその実験的検証
Project/Area Number |
22659035
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 岳 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10324617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻原 直道 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (70324605)
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Keywords | 頭蓋骨 / 縫合線 / パターン形成 / 数理モデル / 界面方程式 / 数理解析 |
Research Abstract |
脊椎動物の頭蓋骨はいくつかの骨が組み合わさって出来ており、その継ぎ目の部分の組織を縫合線と呼ぶ。縫合線組織は出生直後は直線状だが、徐々に湾曲して行って最終的にはフラクタル構造を形成する。このダイナミクスに関しては以前我々は反応拡散系を用いた定式化を行った。まず、縫合線の発生に関与している遺伝子をうまく分類して、1. 組織の分化度 2. 間葉から分泌される骨形成促進因子 の2群に分類した。さらにその相互作用をうまく定式化することで、FitzHugh-Nagumo型の反応拡散系に帰着させることが出来た。このモデルは、縫合線の湾曲や、出芽の形成を数値計算上再現できた。また、フラクタル構造の形成に関しても、拡散項を時間依存にすることで再現できた。 本年度は、このモデルと実際の計測値を用いて数値計算を行い、パターン形成を予測できるか再現することを試みた。マウスの頭蓋骨については、同一個体で3週から8週齡までの頭蓋骨の縫合線の成長を追ったμCTの画像データを以前取得していたので、そこからパターンを抽出することを試みた。しかし、実際には頭蓋骨の形状は三次元であり、データを取得する断面が少し異なっただけで大幅にパターンが変化し、二次元での形状をきちんと三次元の計測値から抽出する方法が技術的な課題として残った。そこで方針を変更し、モデルを数理的に扱いやすくするために反応拡散系からさらに単純化する試みを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脊椎動物の頭蓋骨はいくつかの骨が組み合わさって出来ており、その継ぎ目の部分の組織を縫合線と呼ぶ。縫合線組織は出生直後は直線状だが、徐々に湾曲して行って最終的にはフラクタル構造を形成する。このダイナミクスに関しては以前我々は反応拡散系を用いた定式化を行った。まず、縫合線の発生に関与している遺伝子をうまく分類して、1. 組織の分化度 2. 間葉から分泌される骨形成促進因子 の2群に分類した。さらにその相互作用をうまく定式化することで、FitzHugh-Nagumo型の反応拡散系に帰着させることが出来た。このモデルは、縫合線の湾曲や、出芽の形成を数値計算上再現できた。また、フラクタル構造の形成に関しても、拡散項を時間依存にすることで再現できた。 本年度は、このモデルと実際の計測値を用いて数値計算を行い、パターン形成を予測できるか再現することを試みた。マウスの頭蓋骨については、同一個体で3週から8週齡までの頭蓋骨の縫合線の成長を追ったμCTの画像データを以前取得していたので、そこからパターンを抽出することを試みた。しかし、実際には頭蓋骨の形状は三次元であり、データを取得する断面が少し異なっただけで大幅にパターンが変化し、二次元での形状をきちんと三次元の計測値から抽出する方法が技術的な課題として残った。そこで方針を変更し、モデルを数理的に扱いやすくするために反応拡散系からさらに単純化する試みを行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
実測値を使って数値計算を行う、というやり方から、数理的にどのような形状が出るか予測してからパラメーターを算出する、というより理論寄りのアプローチに変更する。具体的には、現在のモデルを数理的にさらに扱いやすい形に変形する。現在の反応拡散系の形でも一応数理解析は可能だが、解にBessel関数が入って来て通常のやり方ではなかなか扱いが困難である。したがって、骨の分化度の分布の時間変化、という捉え方をやめて、単純に骨と間葉の界面の挙動を定義する、という形にする。要は、ある点で分化促進因子の濃度が高ければ骨分化が促進して界面が前進し、逆に低ければ後退する、という形にする。また、拡散性のシグナル因子の分布についても、反応が既に平衡状態にあるとして、「その因子が、どのくらい遠くまで影響を及ぼすか」を表すカーネルを定義して、その畳み込み積分で算出する形にする。これによって、頭蓋骨の縫合腺の幅や、湾曲の際の最も早く成長する曲率が数理的に算出できるはずである。さらに、これらのパラメータを実際に計測したデータから抽出して、モデルの挙動が実際の挙動と合うようにパラメータを決定する。
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Research Products
(4 results)