2010 Fiscal Year Annual Research Report
発熱植物において見出された脱共役活性に基づくヒトUCPの機能改変に関する研究
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22659041
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
伊藤 菊一 岩手大学, 農学部, 教授 (50232434)
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Keywords | 発熱植物 / ミトコンドリア / UCP |
Research Abstract |
本年度においては、ザゼンソウ肉穂花序から調製したミトコンドリアを用い、UCP抗体により目的のタンパク質の存在を確認するとともに、同画分をSDS-PAGEで分離し、UCPが存在すると予想される部分を切り出し、LC-MS/MS解析に供した。その結果、ザゼンソウUCPに由来するペプチド断片に由来すると考えられる種々のシグナルが得られた。特に、「KNDGPLAFYK」というSrUCPbに特異的なペプチドが検出されたことは興味ある結果である。従来、ザゼンソウにおいては、SrUCPbに加えてSrUCPaのアミノ酸配列も報告されているが、SrUCPaにおける当該配列は「KNDGLLAFYK」であり、今回得られた結果はSrUCPbの存在を示唆するものである。さらに、興味深いことに、Blue Native-PAGEとLC-MS/MSを組み合わせた結果においても、SrUCPbに特異的なペプチド断片が検出されることが判明した。さらに、ミトコンドリアを界面活性剤で処理し、種々のカラムの組み合わせによるUCPの精製に関する実験については、本年度は可溶化の条件設定等を行ったところであり、次年度以降、精製UCP画分を順次LC-MS/MS解析に供することができると考えている。これまで、SrUCPbの存在については、そもそも当該タンパク質は肉穂花序において存在しないのではないか、との議論もあるが、本年度のLC-MS/MS解析において、同タンパク質に特異的なペプチド断片が得られた結果は、この問題をより多面的に解析する必要性を強く示唆するものである。
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