2010 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性脂質によるトランスポータ・チャネルの制御機構の解明
Project/Area Number |
22659046
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
若林 繁夫 独立行政法人国立循環器病研究センター, 分子生理部, 部長 (70158583)
|
Keywords | 生体膜 / チャネル / トランスポータ / 受容体 / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
形質膜Na^+/H^+交換輸送体(NHE1)は種々のホルモン、増殖因子、高浸透圧などの機械的刺激によって活性化されるが、その機構の全貌は不明である。NHE1はホルボールエステル(PE)によっても強力に活性化されるために、ホルモンによる活性化に関しては、PKCこそが最も重要なNHE1制御のキー分子であると長らく信じられてきた。しかし、NHE1とその必須サブユニットCHPはPKCでリン酸化されず、NHE1の活性化機構の全貌は明らかでなかった。今回私達は、NHE1の活性化はPKCではなく、PEあるいは内在性の生理活性脂質ジアシルグリセロール(DAG)がNHE1脂質結合ドメイン(LID)に直接結合し、その結果LIDの細胞膜(特に酸性リン脂質)との相互作用が強化されることによって起こることを明らかにした。まずFRETを用いた解析から、LIDがPEおよびOAG(DAGアナログ)に直接結合することを見出した。興味深いことに、PKCのPEIDAG結合ドメインであるC1と同様に、PE、OAG、リセプターアゴニストを加えるとGFP蛍光ラベルしたLIDが細胞膜に集積することが明らかになった。すなわち、PEはLIDの脂質親和性を増強させるような構造変化を引き起こすことを示唆する。さらに変異導入や脂容性薬剤を用いた詳しい解析を行い、PEおよびリセプターアゴニストによるNHE1のリン酸化を介さない新しい活性化機構を提案することができた。LIDは多様な脂質、脂容性因子が結合し、その種類によって活性化・阻害の両方向への制御が起こると考えられる。今後さらに、NHE1制御の多様性がどのようにして生みだされるのかを明らかにする必要がある。
|
Research Products
(8 results)