2011 Fiscal Year Annual Research Report
動物の低温耐性誘導遺伝子の網羅的同定:神経細胞における低温耐性誘導の分子機構解明
Project/Area Number |
22659048
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梅田 真郷 京都大学, 工学研究科, 研究員 (10185069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
従二 直人 京都大学, 工学研究科, 研究員 (90572199)
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Keywords | 低温耐性 / 神経組織 / イオンチャネル / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
低体温を可能にすることは、エネルギー代謝抑制、寿命の延長、人工冬眠、心・脳疾患治療、臓器移植等における革新的な医療技術開発への道を拓くことから、これまで数十年にわたって様々な角度から研究がなされて来た。しかし、低温耐性を誘導する有効な手法は未だ見出されていない。本研究では、ショウジョウバエの分子遺伝学的手法を駆使して低温耐性誘導遺伝子の網羅的な同定を行い、さらに当該遺伝子産物の機能解析から低温耐性誘導の分子機構を明らかにすることを目的とする。 本研究では、誘導型RNA干渉系統群とGAL4-UASシステムを駆使することにより、特定遺伝子を特定細胞・組織で発現抑制した遺伝子改変個体の作製と解析を通して、低温耐性誘導遺伝子の網羅的な同定を試みる。本年度も、神経細胞特異的GAL4ドライバーであるelav-GAL4と誘導型RNA干渉系統群との交配により得られた遺伝子発現抑制個体の低温耐性を指標に、低温耐性誘導に関わる遺伝子群の同定を引き続き試みた。その結果、ミトコンドリア酵素で、ロイシンの分解に関わるmethylcrotonyl-CoA carboxylaseの発現を抑制した場合に顕著な低温耐性の誘導が観察された。また、細胞膜の流動性を調節する脂肪酸不飽和化酵素desat1の発現を抑制すると低温感受性の亢進が観察された。逆に、膜流動性を上昇させるリノール酸を組織特異的に発現することができるdelta12脂肪酸不飽和化酵素(fat2)を遺伝子導入した組み換え個体を作製し、検討した結果、神経組織とともに環状腺で発現した場合に低温耐性が誘導された。現在、その分子メカニズムを解析中である。
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Research Products
(7 results)