2010 Fiscal Year Annual Research Report
社会行動を担う神経基盤の形成:幼若期オキシトシンの働き
Project/Area Number |
22659050
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
高柳 友紀 自治医科大学, 医学部, 助教 (10418890)
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Keywords | オキシトシン / 社会行動 / 情動行動 / トランスジェニックラット / ジフテリア毒素受容体 |
Research Abstract |
幼若期の経験によって、成熟後の情動性と社会行動が大きく修飾されることが知られている。しかし、このメカニズムは明らかではない。本研究では幼若期に母から愛着行動を受けることにより仔のオキシトシン産生ニューロンが活性化され、その結果、仔の将来の社会行動が規定されるという仮説の検証を行う。 オキシトシンシステムを幼若期特異的および部位特異的に抑制し、その行動に与える影響を検討するために、時期あるいは部位特異的にオキシトシン産生ニューロンを破壊できるラットを作製した。即ち、BACクローンのオキシトシン遺伝子座に、ヒトジフテリア毒素受容体と蛍光蛋白質(YFP)を導入したトランスジェニックラットを作製した。トランスジーンの生殖細胞系列への伝達が見られるラインを得ており、その動物のジフテリア毒素受容体の発現部位と発現量、ジフテリア毒素によるオキシトシン産生ニューロンの破壊効果の確認を進めている。この新たなモデル動物を利用することにより、ラットでloss of functionの解析ができ、どの部位のオキシトシン産生ニューロンが重要かを明らかにできるため、成熟後の社会行動・情動行動の発現に必要な神経基盤形成についての新たな知見が得られる事が期待できる。 また、我々は仔にオキシトシン受容体アンタゴニストを投与すると、成熟後の社会行動と情動行動が修飾される傾向を確認している。そこで、幼若期にオキシトシンシステムを活性化した時の影響を見るため、仔にオキシトシンを外来性に投与して成熟後の行動について検討を行っている。
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