2011 Fiscal Year Annual Research Report
GPCRの三次元構造解明を目指した活性型及び不活性型GPCR固定化抗体の作製
Project/Area Number |
22659059
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 拓也 京都大学, 医学研究科, 講師 (20311730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 紀通 京都大学, 医学研究科, 助教 (10314246)
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Keywords | GPCR / 立体構造認識抗体 / アデノシンA2a受容体 / 結晶構造解析 / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
小林らは、酵母及び昆虫細胞を用いて膜蛋白質の高発現株をスクリーニングした結果、未発表のものを含め10種類以上の膜蛋白質について、発現・精製方法を確立した。これらの膜蛋白質を精製し、「脂質二重膜中に埋め込ませたプロテオリポソームを抗原とすることで膜蛋白質の機能的構造を保持したままマウスに免疫することが可能となっている。弓さらにリポソームELISA陽性で変性ドットブロット陰性のクローンをスクリーニングすることで立体構造を認識する抗体を選択することが可能となった。本手法によって得られたアデノシン受容体抗体を用いて受容体/抗体複合体の結晶化を試みた結果、分解能2.7Åで構造を決定し論文にまとめた(Nature 2012)。本抗体はアデノシン受容体の細胞内の窪んだ領域に突き刺さるような結合様式を呈しており、ヘリックスの2,3,6,8番と幅広く受容体と相互作用していた。本抗体は、不活性化型受容体固定化抗体であることが明らかとなっている(アンタゴニストは結合するがアゴニストは結合しない)。GPCRは全体構造が類似しているが、本抗体は、アデノシン受容体特異的であり、アドレナリン受容体、ムスカリン受容体、苦味受容体にはクロスしなかった。可変領域のペプチド鎖を合成し、受容体とG蛋白質の共役を阻害するか否かについて検討したが、細胞レベルでシグナル伝達を阻害することはできなかった。抗体は広く受容体と相互作用しており、単にペプチド鎖による(二次元的な)作用では受容体との親和性が低下する可能性が示唆された。また、GPCRを活性型に固定化する抗体も作製することができ、アデノシンA2a受容体と抗体の複合体結晶も確認している。現在、構造解析中である。
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Research Products
(4 results)