2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子間相互作用が生み出す膜マイクロドメイン生物情報
Project/Area Number |
22659060
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
本家 孝一 高知大学, 教育研究部・医療学系, 教授 (80190263)
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Keywords | プロテオーム / 分子間相互作用 / 生体分子 |
Research Abstract |
(1)第二世代EMARS標識試薬の開発と質量分析による標識タンパク質同定位の確立 従来、EMARS法の標識試薬として市販品のアリールアジド-ビオチンを使用していたが、第二世代標識試薬としてアリールアジド-フルオレセインを開発した(特願2010-157181)。この試薬を用いると二つの利点がある、第一は、標識されたタンパク質を蛍光イメージ装置で直接検出することができる。第二は、アリールアジド-ビオチンを使用していたときの問題点であった内在性酵素による活性化(ノイズ)を減らす効果がみられた。フルオレセインで標識されたタンパク質は、抗フルオレセイン抗体で分離濃縮することが可能であり、免疫沈降で分離した標識タンパク質は、トリプシン分解した後、MALDI-MSにより同定することが可能であった。 (2) 外的刺激や膜環境の変化に伴う細胞膜分子間相互作用の変容と生物情報発信への影響 HeLa S3細胞において、β1インテグリンと3種類のECM(フィプロネクチン、コラーゲン、ラミニン)間の結合により、接着後時間依存的にどのようなRTKがβ1インテグリンと相互作用するかを、EMARS法を用いて網羅的に解析した。その結果、β1インテグリンと相互作用するRTKは、ECMの種類及び接着後時間依存的に変化していた。中でも、β1インテグリンとErbB4の相互作用は接着後2時間で最大になり、同時にErbB4のチロシン残基の自己リン酸化も接着後2時間で最大になることが分かった。このβ1インテグリンとErbB4の空間時間依存的相互作用がインテグリン依存性の細胞移動に寄与していることが示唆された(J.Biochem.)。今後、さらに多くの細胞表面分子間相互作用と細胞ひいては生体機能の関係が解明されていくことが期待される。
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Research Products
(5 results)