2010 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞を用いた着床期特有の胎児エピゲノム環境感受性の解析
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22659070
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 憲子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (70280956)
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Keywords | エピゲノム / 環境感受性 / 子宮内環境 / DNAメチル化 / 着床期 |
Research Abstract |
望ましくない子宮内環境で成育した胎児は、生後生活習慣病を発症しやすい。その病態メカニズムは明らかではないが、胎児期に決定されるエピゲノム状態が子宮内環境によって変化することに起因するとされている。胎児期のエピゲノム状態は特に着床時期に大きく変動する。そこで着床後の胚発生を模倣できるマウスES細胞分化系を用いて、子宮内環境変化が初期発生におけるDNAメチル化状態の変動にどのような影響を与えるのかを検討した。マウスES細胞を胚様体形成により分化させて、10日間培地に植物性エストロゲン、ゲニステインを添加させた場合とさせない場合のDNAメチル化レベルの差を解析した。メチル化感受性制限酵素とプロモーターアレイを用いてゲニステインによるDNAメチル化状態の変化を解析した結果、74カ所のプロモーター領域のDNAメチル化状態に差があることが判明したが、その差の程度は小さく、差のある領域は短く限定された領域であった。このうちUcp1とSytl1の2つの遺伝子プロモーターについて詳しく解析したところ、両者とも未分化状態から分化4日目に新生DNAメチル化を受けるが、ゲニステインの有無による影響は受けなかった。しかし、4日目から10日目にかけた脱メチル化の程度がゲニステイン存在下で増大することがわかった。ゲニステインがDNAメチル化状態に影響を与える時期が新生DNAメチル化完了後であるという点は、アグーチマウスモデルにおいてゲニステインがA^<vy>アリールのDNAメチル化レベルを三胚葉形成時期までに変化させるという考えと共通し、興味深い結果となった。
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