2011 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白プロセッシングシステム制御マイクロRNAによる消化管癌の病態解明とその応用
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22659074
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安井 弥 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40191118)
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Keywords | 消化管癌 / 蛋白プロセッシング / マイクロRNA / シグナルペプチダーゼ / 診断・治療 / SPC18 / TGFα |
Research Abstract |
がんの増殖・進展におけるシグナルペプチダーゼの発現とその制御機構を明らかにし、消化管癌の分子病態の解明と診断への応用を目的として、本年度は以下のとおり実施した。 1)蛋白プロセッシング分子SPCl8の発現解析 SPCI8の定量的RT・PCR解析では、40%胃癌症例で過剰発現が認められ、ステージの進行、リンパ節転移と有意な相関を示した。免疫染色によるSPC18の発現と粘液形質との関連解析では、SPC18陽性例は分類不能型に多く、腸型や胃腸混合型には少ない傾向が認められた。SPC-18の予後因子としての意義を組織マイクロアレイ約900例における解析で確認した。 2)蛋白プロセッシング分子SPC18の標的サイトカインの解析 SPC18陰性のMKN-1細胞とSPC18強制発現細胞MKN-1-SPC-18ならびにSPC18とSPC21を共発現しているKATO-III細胞のsiーRNAノックダウンシステムを用いて、標的サイトカインの検索を行なった。SPC18の強制発現によって、培養上清へのEGFおよびTGFαの分泌が促進され、また、SPC21ではなくSPC18ノックダウンにより分泌が抑制された。SPC18の強制発現により、EGFRの活性化が確認された。 3)microRNAによるサイトカインの制御およびCAST解析 胃癌においてメチル化により発現抑制されているmiR-143を同定した。TGFβはmiR-143を誘導するが、一方でmiR-143はTGFβの発現を抑制した。さらに、胃癌間質線維芽細胞ではmiR-143によりversicanの発現が抑制されている可能性を示した。胃癌細胞株および癌組織のCAST解析により、いくつかの癌特異的分泌蛋白コード遺伝子を同定した。 これらは、新しい癌特異的分泌蛋白の広いスペクトラムを標的とする革新的・根幹的な診断・治療の道を拓くものである。
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