2010 Fiscal Year Annual Research Report
ツメガエル幼生において未熟な免疫系が標的とする再生芽特異的な分子の同定と解析
Project/Area Number |
22659080
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保 健雄 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10201469)
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Keywords | アフリカツメガエル / 脊椎動物 / 器官再生 / 免疫応答 / 自己反応性T細 / 抑制性T細胞 |
Research Abstract |
アフリカッメガエル(Xenopus laevis)幼生(オタマジャクシ)は高い尾の再生能をもつが、発育段階で一時的に再生能を失う(再生不応期)。応募者らは以前に、不応期と可能期では尾切断後に起きる免疫応答が異なることを示し、不応期の幼生を免疫抑制剤処理したり、免疫細胞分化に関わる遺伝子をノックダウンすることで再生能を人為的に賦活化できることを示した。また不応期では免疫系が未熟で自己反応性T細胞が再生芽の増殖細胞を攻撃するのに対し、可能期では制御性T細胞が分化し、自己反応性T細胞の作用を抑制することで再生能が獲得されることを示唆した(Fukazawa et al. Development (2009))。本研究では未熟な免疫細胞が再生芽の増殖細胞に固有な分子を標的として攻撃する可能性を考え、この分子を同定すると伴に、この分子を攻撃する未熟な免疫系の実体解明を目的とした。 先ずオタマジャクシの尾を切断後、免疫抑制剤処理する時間を狭めて免疫抑制剤が奏功する期間を限定した。その結果、尾切断後1日までの免疫抑制剤処理で再生能を賦活化するのに充分であることが示唆された。さらに切断後の尾について先に特定した期間で、不応期と可能期及び、不応期で免疫抑制剤処理した幼生の尾で発現量に差がある遺伝子をディファレンシャル・ディスプレイ法を用いて網羅的に検索し、再生能と相関して発現変動する3つの遺伝子候補を得た。これらはいずれも不応期で発現し可能期で発現しないが、そめ内の2つは不応期で免疫抑制剤処理すると発現抑制されることから再生を阻害する免疫応答に関連すると考えられた。残り1つは不応期で免疫抑制剤処理によらず発現量に変化がないことから、未熟な免疫系の標的となる「自己抗原」の候補と考えられた。これらの分子の機能解析を進めることで、器官再生能を規定する分子機構の理解が進展すると期待される。
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