2011 Fiscal Year Annual Research Report
多包虫症に関する非開腹的治療法への挑戦と評価法の開発
Project/Area Number |
22659083
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
伊藤 亮 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70054020)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 宗裕 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70177096)
岡本 芳晴 鳥取大学, 農学部, 教授 (50194410)
今川 智敬 鳥取大学, 農学部, 教授 (20232605)
中谷 和宏 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (70109388)
|
Keywords | 肝多包虫症 / 温熱療法 / 光線力学療法 / 肝切除 / 抗体応答 / 実験感染モデル |
Research Abstract |
本研究は、最新の腫瘍治療法の中で、温熱療法と光線力学療法を多包虫症の治療に応用できる可能性を検討するものである。具体的には(1)研究者側が希望する肝臓の特定の部位に限局される病巣を創出できないか、(2)できる場合には、温熱療法、光線力学療法で、治療できないか、(2)治療効果の判定として抗エキノコックス抗体価の動態を観察できないかの3点である。 (1)ついては、包虫の破砕組織の注射ではなく、非常に小さな包虫自体を移植することにより、ほぼ100%実験者が希望する特定の位置に包虫病巣を形成させる新しい技法を確立した(Imagawa et al.in prep.;Yamashita et al.in prep.)。(2)温熱療法、光線力学療法効果を判定するため、治療を始める前の時点における抗体応答確認実験を実施した。粗抗原に対する抗体応答と比較し、診断抗原として国際的に利用され始めているEm18に対する抗体応答が陽性になるまでに時間がかかることが判明した。(3)温熱療法、光線力学療法による治療効果についての予備研究を展開した。以上2年間の研究から、(1)の肝病巣作製技法が温熱療法、光線力学療法のみならず、外科的肝切除による抗体応答動態への基本的問題解決への非常にユニークな実験動物モデルとして有用であることが判明してきた。これは臨床医との共同研究から派生してきた非常に不思議な現象に基づく。外科的切除が第一優先治療法として国際的に承認されている唯一の寄生虫疾患が多包虫症である。他の疾患では術前に診断がつく場合には外科的切除は推奨されない。肝エキノコックス症に対して施行された外科的切除手術直後から、患者の抗体応答動態を調べる機会が与えられた結果、完全に病巣を切除できた症例では術後1,3,7日と日を追って抗体応答が著減する予期せぬ事実が判明してきた(赤羽ほか、論文準備中;Ito et al.in prep.)。本研究はこの外科的切除直後の抗体応答減衰機構解析に有用な動物モデルを作出したことにもなる。
|
Research Products
(1 results)