2011 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスハンティングに有用なインターフェロン伝達因子阻害細胞株の樹立
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22659092
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松山 俊文 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30165922)
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Keywords | インターフェロン / インターフェロン誘導遺伝子 / ウイルス高感受性細胞 / iPS細胞 / IRF / RNaseL |
Research Abstract |
平成23年度はI型インターフェロン(IFN)シグナル伝達経路の3つの過程に位置する分子を特異的に阻害するshRNAs、あるいはDominant negative (DN)ミュータントを作成した。 1)ウイルスの検出、及びIFNの産生の阻害:RIG-I,IKKe,IRF7,IRF3 2)IFNによるIFN-stimulated genes(ISGs)の誘導阻害=IFNAR1,IRF9 3)抗ウイルス作用を担うISGの阻害:PKR,RNaseL それぞれのコンストラクトは各標的分子の作用を特異的に抑制することを、293FT(ヒト胎児腎臓細胞)に一過性に発現させ確認した。次にそれらのコンストラクトをiPS細胞に遺伝子導入して安定株の樹立を試みたが、一過性の発現は得られたもの安定株の樹立ができなかった。そこで、一過性の発現ではなく、効率よく安定株を樹立できるプラスミド・コンストラクトを検討した。EGFP、ピュロマイシン発現ユニットの位置、ウイルスLTRの有無等を変え、293FT細胞、及びインフルエンザ感染実験でよく用いられるA549(ヒト肺胞上皮細胞)を使って、これらのshRNA, DNニュータントを発現する安定株の樹立をおこなった。shRNAの発現に関しては、U6プロモーター-shRNA/PGKプロモーター-ピュロマイシン耐性遺伝子のみを発現させる最小限の構造が最も効率良く、安定株を得ることができた。DNミュータントの発現に関しては、全体のユニットをレトロウイルス由来のLTRで挟み、iPS細胞でも強力な発現活性を維持できるEF1-□プロモーター-DNミュータント-IRES-GFP/PGKプロモーター-ピュロマイシン耐性遺伝子とつないだコンストラクトが、より効率よく安定株を作成できた。現在、これらのコンストラクトをiPS細胞に導入して安定株を作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までウイルスの検出、及びIFNの産生の阻害の4種、IFNによるIFN-stimulated genes (ISGs)の誘導阻害の2種、抗ウイルス作用を担うISGの阻害の2種計8種のコンストラクトが完成しその阻害作用の検定も終了していることは、当初の計画以上に抗ウイルス作用を担うインターフェロン系シグナルの各種レベルでの阻害が可能になってきたことから(1)と評価した。一方、ヒトiPS細胞への導入による安定株の樹立は予想以上に困難であり、まだ樹立した細胞株がないことからやや遅れているの(3)と評価した。これらを総合して全体的な達成度はおおむね順調に進展しているの(2)と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はiPS細胞の安定株の樹立を目指す。ただ現在のコンストラクトを全て同時に入れるためにはそれぞれ固有の薬剤選択マーカーのカセットに入れ替える必要がある。 一方、iPS細胞株の樹立が研究計画の間に達成できない可能性もあるので、並行して既存の種々の組織由来の細胞株に作成したコンストラクトを導入する計画である。特に期待されるのが、すでにこれまでウイルスハンディングに用いられてきたVero細胞である。この細胞に更なる抗ウイルス作用を担うインターフェロン系シグナルの各種レベルでの阻害が達成できれば、世界中でこの細胞がウイルスハンティングに用いられるようになると期待できる。
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