2011 Fiscal Year Annual Research Report
重大外傷をアウトカムとした転倒転落リスクアセスメントツールの開発
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22659099
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鳥谷部 真一 新潟大学, 危機管理本部危機管理室, 教授 (20227648)
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Keywords | 転倒・転落 / 骨折 / リスク因子 / 頭蓋内出血 / FRAX |
Research Abstract |
院内の転倒転落事故は医療事故の中でも最も頻度が高く、しばしば医事紛争の原因となる。転倒転落の高リスク患者を同定するために、種々のリスクアセスメントツールが用いられている。しかし、これらのツールは転倒転落自体を予知することを目的としており、転倒後に外傷が発生するか否かを考慮されて設計されているわけではない。実際の診療現場では、転倒転落の事後対応で最も重要なのは重大外傷の有無である。そこで、本研究では転倒転落後に重大外傷が発生するリスクを評価するための、リスクアセスメントツール開発を目標とした。これまでの研究で、(1)転倒後の重大外傷としては骨折が最も多く、ついで頭蓋内出血があり、この二つがほとんどを占めること、(2)転倒後に骨折を起こすリスクは、転倒リスクアセスメントスコア(STRTIFYツールなど)よりも、骨折リスクアセスメントスコア(WHOのFRAX)の方が有用であることを明らかにした。平成22年度には、骨折についで頻度が高い転倒後頭蓋内出血について検討した。引き続き、転倒後頭蓋内出血のリスク因子を検討した。その結果、(1)頭蓋内出血の発生は、出血傾向を引き起こすような薬剤の使用や基礎疾患の存在とは関連がないこと、(2)むしろ骨折リスクアセスメントスコア(WHOのFRAXスコア)と関連があることを明らかにした。一見頭蓋内出血とは関連がないようにみえるFRAXスコアが、転倒後頭蓋内出血と関連がみられたことは、本スコアが転倒リスクアセスメントスコアとは異なる転倒ハイリスク亜群を検出しているものと考えられる。以上の結果を英文論文で発表した。転倒後の外傷で、骨折でも、頭蓋内出血でも、同じ因子が外傷発生と関連があったことから、外傷の種類を問わないリスク因子としてFRAXスコアが有用である可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した通りに解析が進んでおり、新たなリスク因子をみつけることもできた。また、これらの成果を関連学会や英文論文の形で公表することもできている。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに見つけたリスク因子を組み込んだ形で、リスクアセスメントスコアシステムを作成する。 作成したリスクアセスメントスコアシステムを検証用データに適用し、外傷を伴う転倒転落を正しく予測できるかどうか検証する。
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