2010 Fiscal Year Annual Research Report
医療事故時等の真実告知や謝罪を難しくしている要因に関する組織心理学的研究
Project/Area Number |
22659105
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
石原 明子 熊本大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (50535739)
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Keywords | 医療 / 社会心理学 / 紛争解決 / 医療安全 / リーダーシップ |
Research Abstract |
医療事故時や医療の結果が悪かったときにおける、医療者と患者・家族とのコミュニケーションに影響を与える組織心理学的要因に関する研究を、下記の内容の研究を行った。 (1)組織研究における分析枠組みの文献的検討、研究方法論に関する検討を行った。研究方法論については、CBRP (Community Based Participatory Research)の可能性とプロセス指向心理学の視点の応用可能性について、文献調査と専門家とのディスカッションにより検討した。 (2)プレインタヴュー調査として、病院で看護スタッフとして15年以上の勤務経験をもつ方々に上記に関するインタヴュー調査を行った。 (3)関西地区のA病院の事務系と臨床系の幹部スタッフ全員(17名)に、医療事故や医療の結果が悪かったときのコミュニケーションに影響を与える組織的要因に関するインタヴューを行い、組織内ダイナミズムの検討を行った。 (4)医療現場に肯定的な心理傾向を作り出す米国でのFoster and Hickリーダーシップトレーニングモデルの日本の医療現場での応用可能性の検討に関するグループインタヴュー・ワークショップ調査を行った。 本年度の研究は、次年度の医療機関を対象とした調査研究の基礎研究・プレ調査と位置づけられるが、組織の在り方の中で、当該コミュニケーションに影響を与える大きな要因としては、組織の文化の在り方の重要性が示唆され、また、組織文化を創り出すにあたっては、そのリーダーシップの在り方の重要性が示唆された。次年度は、そのような組織文化を創り出し強化するリーダーシップの在り方について、日米の医療機関を対象に調査を行い、その異同を研究する。そして、具体的なリーダーシップトレーニング開発への示唆を得ることを目指す。
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