2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中発症後の遅延性神経細胞死を防ぐ画期的治療薬の研究
Project/Area Number |
22659109
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
曽我部 正博 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10093428)
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Keywords | 脳卒中 / 新規治療法 / 神経ステロイド / DHEA / アストロサイト / GLT-1 / プロゲステロン / 神経保護作用 |
Research Abstract |
脳卒中発症約2日後から進行する遅発性神経細胞死を防止する治療法はなく、重篤な後遺症の原因となっている。本研究は神経細胞死が始まる発症後2日以内に神経保護作用を有する神経ステロイドを投与して、細胞死を防ぐことにより、脳卒中の後遺症を大幅に軽減する新規治療法の開発を目指している。そのために一過性脳虚血動物モデルを用いて、虚血/再還流後の様々な時間に、ジヒドロアンデステロン(DHEA)あるいはプロゲステロン(P4)を一回注して、その保護作用とメカニズムを組織学的、電気生理学的、行動学的手法で解析した。 1. DHEA神経保護作用の標的細胞と標的分子の同定 すでに我々が神経保護作用を確認しているDHEAの標的細胞と標的分子の同定を試みた。予備実験でDHEAの標的はグリア細胞(アストロサイト)のグルタミン酸トランスポーター(GLT-1)であるとの結果を得た。そこで、ラット脳スライス標本を用いてDHEAによるGLT-1活性の変化をアストロサイトの膜電位測定を通して評価し、DHEAがその活性を強く促進することを確認した。即ち、DHEAは虚血に伴うGLT-1活性の減弱を補強することで細胞死を防ぐことが示唆された。 2. 脳梗塞モデルに対するプロゲステロン(P4)の適用性の検討 中大脳動脈閉塞(MCAO)法により一過性脳梗塞ラットモデルを作成し、再環流後の1, 3, 6, 12, 24, 48, 72時間にP4(4mg/kg)を腹腔一回注し、虚血8日後に海馬の残存細胞数を計数した。P4はこの操作で虚血直後から神経保護作用を示すことが明らかになった。また動物の空間認知能力と神経保護作用の間に強い相関があることが分かり、P4は組織学的にだけではなく機能的にも神経保護作用を発揮することが明らかになった。今後詳細な細胞分子機構を解明して、P4が安全な治療薬として使える根拠を明らかにしていきたい。
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Research Products
(7 results)
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[Book] Mechanosensing Biology(Ed. Noda M)2010
Author(s)
Tatsumi H, Hayakawa K, Sokabe M
Total Pages
219
Publisher
Springer verlag pp3-19, Nanotechnology in mechanobiology : mechanical manipulation of cells and organelle while monitoring intracellular signaling
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