2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子デリバリー技術の医療応用に重要な長期タンパク質発現系の開発・治療展開
Project/Area Number |
22659110
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川上 茂 京都大学, 薬学研究科, 講師 (20322307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋田 泰彦 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 研究員 (30512462)
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Keywords | 遺伝子デリバリー / 遺伝子治療 / 長期遺伝子発現系 / phiC31インテグラーゼ / 組織核酸導入法 / 遺伝子機能解析 / 肝臓 / 腎臓 |
Research Abstract |
本研究の目的は、小動物を用いた遺伝子機能解析や遺伝子治療を目的とした遺伝子発現の長期化ならびに臓器特異的な遺伝子導入法の開発である。初年度は、肝線維化抑制効果のあるHGFをphiC31 integraseベクターを構築し、ハイドロダイナミクス法によりマウス肝臓で長期発現を確認した。そこで本年度は、phiC31 integraseシステムを用いた肝線維症に対する遺伝子治療の薬理学的効果の評価と組織吸引デバイスを用いた新しい臓器特異的な遺伝子導入法の開発を行った。まず、phiC31 integrase認識部位(attB)を含むhHGF発現プラスミド(pORF-hHGF/attB)を用いて、phiC31 integrase発現プラスミド(pCMV-int)との混合溶液を、ハイドロダイナミクス法によりマウス肝臓に導入した。続いて、四塩化炭素の腹腔内への繰り返し投与により肝線維症モデルマウスを作製し、本手法による治療効果を、数種類の線維化マーカーのmRNA量の測定、及びAzan染色により評価した。その結果、肝線維症モデルマウスでは、対照のマウスと比較してHGFの維持発現量がやや低かったものの、HGF長期発現による線維化抑制の傾向が、線維化マーカーのmRNA量及びAzan染色から確認された。また、肝臓や腎臓へのnaked核酸導入を目的に、昨年度までに開発した臓器特異的遺伝子発現制御が可能な組織核酸押圧導入法の原理を基に、腹腔内内視鏡先端に搭載可能な新規デバイスとして、組織吸引デバイスを新たに開発し、肝臓や腎臓表面を吸引することで血管内に投与されたnaked核酸(pCMV-Luc)の組織吸引部位への高効率な遺伝子導入が可能であることを明らかにした。これらのベクターや核酸導入法は、長期的な臓器での遺伝子発現制御の実現に向けて有益な基礎的知見となることが期待される。
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